「ちょっと待って、リングのサイズ直しをする前に!」
リングのサイズ直しで悩んだことありませんか。プロでもアドバイスに自信が持てなかったり、曖昧な対応になってしまうことも少なくありません。
本来サイズを直すと言う作業はリングを少なからず傷めることになりますので、出来るだけサイズ直しはしないのが理想です。量産モデルの場合に一番良いのは自分の指のサイズで初めから作ってもらうことです。十分な納期さえあればメーカーでしたら対応可能です。そのため余裕を持って買い物することを勧めます。
大切なのはフィッティングです。「ボンレスならず、斜めならず。」あるジュエリー販売の達人の言葉です。何のことか直ぐにピンとくる人がいたら、なかなかのジュエリー通かも知れません。ジュエリー販売に携わる方を集めて「最適な指輪のサイズの測り方」と言うテーマでディスカッションしたときに発せられた一言です。ボンレスハムのように指に食い込むのは小さすぎで、指を閉じたときに斜めになるのは大きすぎと言う意味です。指の骨の大きさや肉のつき方も一人一人異なるので、全ての人に当てはまるフィッティングはありません。その日の体調や季節によっても指のサイズが違うので後になってきつくなったり、ゆるくなったりもします。また、指輪の幅や形状によって同じ指でもサイズが異なります。その意味ではあまり神経質になる必要はありません。
大切なのは、そのような情報を正しくお伝えした上でサイズを測る事です。前述のボンレスハムのようになるのはエレガントではないので、迷ったらきつめより抜けない程度の少し余裕があるサイズを選ぶ方が良いでしょう。少し大きめでしたら、ぴったりサイズの細めのリングを重ねづけして抜けることを防ぐことも出来ます。お客様自身に指輪をつけてから外すまでの動作をしてもらい、その様子を観察してから判断すると言う販売員さんもいました。
そもそも構造的にサイズ直しが出来ないリングもあります。出来ないなら諦めれば良いと言うのでは身も蓋もありません。そのような場合に大きめでしたら中指か人差し指に、小さめでしたら小指に着けて違和感がなければ新たな自分の発見にもなります。
欧米では若い女性が中心の宝石が大きいメインストンリングを身内から受け継ぐことが多く、受け継いだときにサイズが大きくてもサイズを直すことはせずに細めのガードリングを重ねて落ちないように着けたり、内側に金やプラチナの突起(*Sizing beads)やスプリング(Spring Insert)をつけて調整をします。年を重ねて元のサイズがちょうど良くなることもありますので、見習いたいものです。
どうしてもサイズを直さなくてはならない場合に気をつけなければならないのは内側や外側に刻印されている金性、ブランド、石目方等の情報が消えないようにすることです。こうした中には価値に影響する刻印もありますので売り手、買い手とも確認することが大切です。
日本も欧米のようにジュエリー文化が成熟していくと新たなジュエリーを購入するより受け継ぐ事が多くなるので、サイズの異なるリングをどのように活用するかが重要視されてきます。
Sizing beads
Spring Insert
* Sizing beadsでウエッブ検索、画像検索すると欧米の情報が沢山出てきますのでお試し下さい。