原田コラム

2010/12/01

Christie’s Hong Kong Auction 2

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

高額落札のルビー3点を紹介します。
ダイヤモンドを凌ぐ稀少性が価格に表れています。
もちろん、全てビルマ(ミヤンマー)産の無処理(加熱の痕跡なし)です。

○Ruby Daimond Necklace
2035 Ruby 1.00-4.03ct 30pc-57.48ct Necklace

Ruby 1.00cts~4.03cts 30個-57.48cts
Burma origin(ビルマ産)
No indication of heating(加熱の痕跡なし)Gubelin&SSEF
Estimate:$800,000-$1,000,000

落札価格(含手数料):HK$10,740,000 (約$1,384,354 約1億1,800万円)
1カラット当たり:約$24,000(約200万円)
落札者:アジアの個人

加熱のルビーを幾つか色を合わせすることすら難しいのですから、30個の無処理のルビーの色合わせは至難です。
マーキス、ペアー、オーバル、ラウンドのダイヤモンドをランダムに配しながら全体としては一つの意匠となるように組み合わせてリズム感を演出しています。
ルビーにはイエローゴールドで、ダイヤモンドにはプラチナで、それぞれの色を強調しています。

○Ruby Diamond Ear Pendants
2036 Ruby 5.02 4.24cts Ear Pendants

Ruby Oval-shaped 5.02cts 4.24cts
Burma origin(ビルマ産)
No indication of heating(加熱の痕跡なし)Gubelin&GRS
Estimate:$1,700,000-$2,300,000

落札価格(含手数料):HK$20,148,000 (約$2,606,549 約2億2,200万円)
1カラット当たり:約$281,485(約2,400万円)
落札者:アジアの個人

非常に高い透明度と「ピジョンブラッド」に例えられる純色の赤のルビー(無処理)を2つ揃えることは気の遠くなるような偶然を待たなくてはなりません。
若干の輪郭の違いは、このレベルでは問題になりません。
ペアーシェイプのダイヤモンドを花弁に見立ててルビーの赤色を際立たせています。
上部のペアーシェイプダイヤモンドは2カラットサイズです。
さきほどのネックレスと同様の地金使いで、宝石の色を際立たせています。

○Ruby Diamond Ring
2037-2 Burmese Ruby Mogok Mine UT

2037 Burmese Ruby Mogok Mine UT

Ruby Cushion-shaped 7.04cts
Burma origin(ビルマ産)
No indication of heating(加熱の痕跡なし)Gubelin&SSEF
Diamond Oval-shaped 8個
Estimate:$1,400,000-$1,900,000

落札価格(含手数料):HK$23,060,000 (約$2,970,128 約2億5,200万円)
1カラット当たり:約$421,893 (約3,600万円)
落札者:アジアの個人

見積価格の上限を大きく上回る落札価格から、このルビーの稀少性が想像できます。1カラット当たり42万ドルは、2006年2月にSt MoritzのChiritie’sで記録した8.62cts Cushion-shaped Ruby(Graff Ruby)の8.62cts $3,637,480の世界記録(1カラット当たり)とほぼ同額です。ルースストンの写真からも透明度と彩度の高さが分かります。SSEFは、このルビーはビルマのモゴック鉱山の典型的な特徴に合致する、と別紙で解説しています。

次回に続く。