〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
子供の頃の「たらこ」の色は真っ赤でした。
誰もが「たらこ」は赤いものだと普通に受けとめていました。
いつの頃からでしょう、魚屋さんの店頭に「肌色のたらこ」が並び始めました。
魚屋さんはこれが「本当のたらこ」の色で、赤いのは実は着色だったと言いました。
食の安全への関心の高まりから情報開示が始まったのです。
それから何十年も経ちますが、店頭から「赤いたらこ」が消えたかと言うと、どちらも存在しています。
違うのは、誰もが「赤いたらこ」が着色で「肌色のたらこ」が無着色であることが分かっていることです。
消費者は選ぶことが出来るようになりました。
今では野菜の農薬の程度まで選ぶことが出来ます。
遅れて宝石業界でも同様の情報開示が始まりました。
食品のように生命に関することではないので、業界の認識の程度も様々です。
中には、無闇に知らせないほうが良いと信じている方もいます。
何らかの手が加わったものをエンハンスメント(Enhancement)とトリートメント(Treatment)に分類する都合の良い説明もあります。
何かを分けると言う行為には必ずボーダーラインが存在します。
その前後で議論が起こることは避けられません。
また、科学の進歩でボーダーラインが変わることもあります。
宝石は、大自然の創造物なので「絶対」も「完璧」もありません。
私が大切にしているのは「透明性」です。
分かっている情報を十分に伝える。
情報には「価格」も含まれます。
これからも「透明性」をモットーに皆様にお伝えしていきます。
昨年も沢山の方にご愛読いただきました。
ありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。
*写真は、私が買い付けをして指輪にプロデュースしたビルマ産 無処理(加熱痕無)ルビー ダイヤモンドリングです。