〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
成人の日は街中に新成人の女性の振袖姿があふれます。
いつ見ても華やかで良いものです。
暗いニュースが多い最近は特に嬉しく思います。
いつもはカジュアルな服装な現代っ子もこの時ばかりは振袖を選びます。
以前は、実用的なスーツを選ぶ女性も目にしましたが、華やかさからか圧倒的に振袖の割合が多く感じられます。
恐らく一生に何度も着る事がないと承知の上でも決して安くない振袖を選ぶのでしょう。
理屈ではなく民族の伝統や振袖という制限された着物への憧れが儀式としての買い物を支えています。
この状況は婚約の時の立爪リングによく似ています。
立爪リングは、婚約中と結婚式で着けた後は殆ど着けないのが分かっていても多くの人が購入します。
またリフォームが出来るのに記念にそのまま取っておく人が多いところもそっくりです。
立爪リングに関しては、購入した後に使えないと分かっているものをプロとしてお勧めできないと何度となく発信してきました。
しかし、振袖の事情を考えると立爪リングは既に儀式用と割り切った習慣が出来ているのかも知れないと複雑になります。
着物は何百年もかかって出来上がったスタイルです。
その証拠に本物の着物は世代を超えて使うことも可能です。
立爪リングはどうでしょう。
本来立爪リングは西洋で完成した大粒ダイヤモンド用のスタイルです。
日本で主に購入される小さめなダイヤモンドには向かないものです。
やはり、使えない上にダイヤモンドの美しさを十分に引き出していない小さめなダイヤモンド立爪リングはお勧めすることは出来ません。
西洋式の生活様式が根付いた現代においてジュエリーは、スタイルを間違えなければ日常的に使うことが出来る装身具です。
ジュエリーはスタイルを重視して慎重に選んでください。
蛇足ですが、着物、ドレス、ティアラ、ネックレス、イヤリングにレンタルがあるように儀式のためだけなら指輪もレンタルで良さそうですがありません。
リングは特別な想いがこもった別物です。