原田コラム

2011/04/15

Christie’s New York Auction Result 2

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

○Diamond Ring
37.16cts D IF Type2a.

Diamond: 37.16cts Octagon-shape Step-cut
D Internally Flawless TypeⅡa GIA
Estimate:$4,200,000-$4,800,000
落札金額(手数料込み): $4,450,500(約3億8,000万円)
1カラット当たり:約$120,000(約1,000万円)
落札者:米国の個人

TypeⅡaのエメラルドカットのダイヤモンドです。
40カラット近い立派な大きさです。
四隅のカットが大きく、8角形の輪郭が良く分かります。
テーブルが小さく、クラウンが高めなプロポーションが写真からも見られます。
もし、クラウンが薄かったならば、テーブルはもっと大きくなったはずです。
プロポーションや輪郭から原石の形を想像するのも楽しいものです。

○Diamond Ring by Harry Winston
9.68cts D VVS2 by Harry Winston

Diamond: 9.68cts Octagon-shape Step-cut
D VVS2 Potentially Internally Flawless
Estimate:$700,000-$1,000,000
落札金額(手数料込み): $962,500(約8,200万円)
1カラット当たり:約$100,000(約850万円)
落札者:米国の業者

恐らく元々Internally Flawlessだったものが使っているうちに表面が傷ついてVVS2になったものだと思われます。
キズがVS2まで大きくなるものは殆どありませんが、VS1ぐらいの大きさの傷がついたものに出会ったことがあります。
もし、石目方が10.00カラットのようにギリギリ10カラットを越えるものであったなら再研磨後に10カラットを切るリスクがあるのでVVS2の価格をベースに競られます。
もともと9,68カラットなので、再研磨しても通常9.5カラット以下になることは稀です。
この価格は、再研磨後のInternally Flawlessの価格がベースになっています。
やはり、個人は手を出し辛いロットです。
一つ前のエメラルドカットと比較して分かるように、このダイヤモンドのクラウンは薄く、そのためテーブルが大きく取られています。、原石はソーイング(引き割る)されて複数のダイヤモンドが研磨されたのかも知れません。

○Diamond Ring by Van Cleaf & Arpels
41cts D VS1 PS by Van Cleaf & Arpels

Diamond: 16.41cts Pear-shaped Brilliant-cut
D VS1 GIA
Estimate:$800,000-$1,200,000
落札金額(手数料込み): $1,082,500(約9,200万円)
1カラット当たり:約$66,000(約560万円)
落札者:アジアの個人

縦横の比率に輪郭の美しさ、正に理想的なTear Drop(雫型)のダイヤモンドです。
ラウンドブリリアントカットの20カラットにも劣らない迫力の大きさです。
金額的には一つ前の9.68カラットのラウンドブリリアントと大きく違いません。
Internally Flawlessの半分程度の単価で同様の美しさを手に入れることが出来ます。
透明度に大きな差がなければ、個人的には躊躇なくこの16カラットのペアーシェイプを選びます。

○Kashmir Sapphire Diamond Ring by Tiffany & Co.
10.06 Kashmir Sapphire by T & Co

Sapphire:10.06cts Octagon-shaped Mixed-cut
Origin: Kashmir (Gubelin, GIA, AGTA)
Treatment: No Indication of Heating(無処理)
Estimate:$200,000-$300,000
落札金額(手数料込み): $746,500(約6,300万円)
1カラット当たり:約$74,000(約630万円)
落札者:米国の業者

1920年代のティファニー社製のカシミールサファイアがセットされたリングです。
アールデコ調のデザインが今でも新鮮です。

Christie’s New York Auction Result以上。