〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
「何かお探しでしょうか?」
何気なくお店に入って販売員さんからこの様な言葉をかけられることは多いと思います。
殆どの人は首を横に振るか「いいえ」のような否定的な返事になります。
そして、見る気を失って売り場を離れる人も少なくないのではないでしょうか。
何故、否定的な答えが返ってくる問いかけをするのか分からない。ある宝石専門店の店主が言いました。
私はお客さんがリラックス出来るように直ぐには声をかけません。
スタッフと打ち合わせをしながら、タイミングを見て話しかけます。
まず興味を持っていただけそうな商品を手にとってもらうことから始めます。
手にとってもらえなければ何も始まりません。
手にとってもただ綺麗だと言ってもらっても殆ど販売にはつながりません。
お客さん自身がその商品の魅力を肯定する会話を心がけます。
場合によっては、そのメーカーのアピールポイントを否定するような投げかけもします。
お客さんがそんなことはないとアピールポイントを肯定されたら、予算以外の買わない理由はなくなります。
もちろん、お店の商品は全て私が自信を持って勧められると言うことが前提です。
この店主は関西人らしく「販売は芸」といいますが、立派な心理学です。
販売の奥深さを改めて知り、やりがいを感じました。
ジュエリーの魅力をより多くの方に広めるには、まず小売の現場です。
ハードの説明に終始しがちですが、気持ちよく購入していただくソフトの充実が求められています。