〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日、ジュネーブでSotheby’sのジュエリーオークションが行われました。
落札総額CHF64,048,000(約54億4,000万円)と言う好結果も、落札価格上位6ロットで全体の4割以上を占めており、超富裕層に頼る傾向はますます強くなっています。
その中で注目は世界最大のFancy Vivid Yellowのペアーシェイプでした。(上の画像)
○Fancy Vivid Yellow Diamond Ring
110.03cts
Pear-shaped Mixed-cut
Fancy Vivid Yellow
VVS1
見積価格:CHF10,200,000-14,000,000
落札価格(手数料込み):CHF11,282,500 約$12,300,000(約9億5,900万円)
1カラット当たり約$112,000(約870万円)
Sotheby’sは“THE SUN-DROP”Diamondと命名していましたが、元々は昨年南アフリカから産出してCora International社が保有していたものです。“CORA SUN-DROP”という名前で一時はLondonのNatural History Museumで展示されていました。
オリジナルが110.10ctでしたので一部再研磨したようです。
2番目の写真が正面からのものです。
縦横の比率が1.55:1より大きいものをDrop(雫型)と呼びます。
このダイヤモンドは1.52:1なのでPear-shape(洋ナシ形)の方が近いのですが、「洋ナシダイヤモンド」より「太陽の雫ダイヤモンド」と呼ぶ方が夢があります。
カットは下記のプロット図で分かるようにクラウン側がステップカットでパビリオン側がブリリアント系のファセットが施されているミックスカットです。
110カラットを下回りたくなかった結果、このような変則的なカットになったと推測します。
続く。