原田コラム

2012/05/21

Christie’s Geneva Lily Safra Collection 8 “JAR”

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

○Pearl Diamond Fibula Brooch by JAR
lily Safra by JAR 27

見積価格:SFr.130,000-150,000
落札価格(手数料込み):SFr.315,000 ($339,913)(約2,700万円)

パール:78.48grains(19.62cts),26.92grains(6.73cts),5.12grains(1.28cts)
パールとメレーダイヤモンドをパヴェセッティングして作られたフィブラブローチ(衣服を留めるときに使うブローチ)です。
ドリアンのようにメレーダイヤモンドを逆さにしてパヴェセッティングしたパーツが間に使われてアクセントになっています。
全長:7.5センチ
2002年製

○Ruby Brooch by JAR
lily Safra by JAR 28

Ruby: 173.09cts
見積価格:SFr.1.100,000-1,400,000
落札価格(手数料込み):SFr. 4,003,000 ($4,319,591) (約3億4,000万円)
オークションに出品されたJARの作品の最高価格
落札者:個人蒐集家

JARの最も得意とするパヴェセッティングの代表作Camellia(椿)の花のブローチです。
女性の拳ぐらいの大きさがあります。
以前にパリでJARが依頼している石留め工房にお邪魔しましたが、石と石を隙間なく留める技術はどこにも負けないと強調していたのを思い出しました。
品質が良いのは当たり前ですが、このジュエリーの出来栄えを決めているのは石の大きさです。
パヴェセッティングと言うと小粒石を敷き詰めるイメージがありますが、出来るだけ大粒を使うのがポイントです。
このブローチも大きいものは1カラットを超えるものが使われています。
もう一つのポイントは不規則に並べることです。
そうすることで表情が生まれます。
長さ(最大):8センチ
2003年製

続く。