〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
米国で1999年に設立された世界最大のオンライン宝石小売企業blue nile(ブルーナイル)が日本語のサイトを始めました。
blue nile日本語サイト
2011年の売り上げが348百万ドル(約278億円)で米国の婚約指輪市場の5%以上を占める大物が日本市場に本腰を入れ始めました。
Fedexによる無料配送(日本には4日~9日間で到着)と発送日より30日間の返品可能なサービスで通販のハードルを低くしています。
婚約指輪は約8万個ものダイヤモンドから条件にあった裸石を選んで、好みの枠で組み立てるカスタム方式です。
果たして日本市場においても勝機を見出すことができるのでしょうか。
米国では男性が単独で婚約指輪を選ぶことも珍しくありません。
4Cで品質の比較が完璧にできると信じている男性は格好のターゲットです。
翻って日本はどうでしょう。
日本でも婚約指輪を選ぶ時は男性が関わります。
欧米と違う点は、男性がジュエリー選びに関与するのは婚約指輪が最初で最後の可能性が高いということでしょうか。
日本の場合、結婚後の買い物の主導権は女性が握っています。
将来はともかく、婚約指輪に限れば男性が積極的に関わるのでbule nileも選択肢の一つでしょう。
但し、男性が決定権を持っていたとしても、日本の場合はカップルでお店を回って決めることに満足感を得ているところも見受けられますので米国ほどのシェアは獲得できないかも知れません。
一つだけ言えるのは、同じように4Cを前面に出して価格を訴求しているお店にとってはblue nileの価格が一つの基準になるのは確かだろうということです。
ダイヤモンドのコモディディ化が進んでいますが、宝石は一つ一つが異なる大自然の創造物だと言うことを忘れてはなりません。