〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
1972‐1973年のティファニーさんのカタログです。
「ブルーブック」(The Tiffany Blue Book)の名前で有名なカタログで、これは約40年前のものです。
保存状態が悪く表紙はボロボロになっていますが、中は当時のままです。
ティファニーセッティングで有名なダイヤモンドソリテールリング(立爪リング)やメインストンリングに始まりデザイナーのものまで充実した品揃えに驚かされます。
多くがGemstone oriented jewelry(宝石を主体としたジュエリー)で構成されていますので、現在でもそのままで十分通用するものばかりです。
バンドリングとはバンド(ベルト)のように指にフィットして飛び出した部分がない日常使いに適したスタイルのリングです。
多少時代を感じるのは多分に印刷技術の違いです。
これらを見ると若干の仕様の相違はありますが、今でも販売しているものがたくさんあります。
宝石を並べただけなので流行に左右されません。
小粒の宝石を集めて輝きを連鎖させるスタイルのバンドリングはこれからも存在し続けるでしょう。
古いカタログを見るとジュエリーのあるべき姿が分かります。
カタログには当時の価格が印刷されています。
1972年の為替レートは308円(固定相場)、当時の初任給が約4万7千円、現在は約80円と約20万円です。
大雑把に物価も円の力も現在の4分の1です。
1972年までは宝石には20%の物品税(luxury tax)が課税されていたのを忘れてはなりません。
(1973年からは15%に引き下げられ消費税の導入に伴い廃止された)
現在の商品の価格と比較してみるのも良いでしょう。