〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
今回の香港ショーは、昨今の世界の経済情勢と中国経済の成長鈍化から、期待と言うよりも、どの程度の減少ですむのかと言う不安な気持ちで始まりました。
結果としては予想した範疇の減少で留まったことに安堵した出展者が大半でした。
但し、バイヤーの提示する金額は厳しく、必要なものを必要なだけ適正な価格で仕入れる姿勢が目立ちました。
その中で中国本土からのバイヤーは間違いなく少なくなっています。それに伴い大衆向けの低品質の材料は苦戦していましたが、高品質の大粒裸石は好調でした。
ショーで目立っていたのは、ダイヤモンドの5カラット以上の大粒が豊富なことと、ルビーのモザンビーク産が出回っていたことです。
モザンビーク産は『無処理・加熱・鉛ガラス含侵』の3種類が存在し、それぞれが異なる価格レベルで取引がされています。
無処理のものは透明度が高いものの、やや黒味が強いのが特徴です。
タンザニア産のオレンジがかったものよりモゴック産のピジョンブラッドに近く、うまく選べば魅力的なものがあります。
しかし、2カラットを超えると既にビルマ産の価格に近くなるので評価が定まるまで注意が必要です。
2カラット未満には値ごろ感はありますが、マーケットが限られるのでジュエリーとしての使い方がポイントになります。
エメラルドもコロンビア産を中心に無処理を打ち出している所がありますが、良心的な業者はレポートを取らずに商談が決まった後に取ります。レポートを取った後に含侵処理をして販売する業者が少なくなく、バイヤーが不安なく買えるように配慮しています。