原田コラム

2012/09/28

ピジョンブラッド! ピジョンブラッド? ピジョンブラッド!?

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Pigeon's blood report

ルビーの「ピジョンブラッド」発見!
これも「ピジョンブラッド」
エーッ!「ピジョンブラッド」ってこんなにあっていいの?

これは、先日の香港ショーでの話しです。

「ピジョンブラッド」「ロイヤルブルー」と言う言葉はTrad Terms(業界用語)であり、本来鑑別業者が判断してレポートに記載するべきでないと言うのが私の主張でしたが、香港ショーの会場にはこの“Pigeon’s Blood”が氾濫していました。
30個ぐらい並べてあるトレイの全てに“Pigeon’s Blood”と表記している業者もいたので、よく見てみたところ赤色(色味・明暗度)はある範囲に入っていますが美しさはピンキリで、買いたいと思う品質のものは全くありませんでした。
聞いてみると全てミヤンマー産で加熱のルビーとのこと、納得しました。

Trad Terms(業界用語)をレポートに記載する賛否を云々する以前に鑑別業者によって適用範囲が異なることを知る必要があります。
「ピジョンブラッド」「ロイヤルブルー」に関して、この分野の鑑別のパイオニアであるグベリン研究所は『無処理(加熱の痕跡なし)のものでルビーは1カラット以上、サファイアは3カラット以上で産地は問わず』としています。
これに対して主にタイで業務を行っているGRSは『ミヤンマー産に限るが、処理は問わない』としています。
そして私が見たトレイのルビーはGRSのレポートのものでした。

宝石は一つ一つが異なり美しさもそれぞれです。
“Pigeon’s Blood”と表示されても美しさは一つ一つ異なります。
既に多くが流通し、一人歩きしているので抗し難いのですが、如何なるレポートも鵜呑みにせず、ご自身で美しさを確認することを大切にしてください。