〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
11月13日スイスのジュネーブでChristie’sのオークションが行われました。
結果
総額(手数料込み):SFr80,615,930 ($85,049,810)(約68億円)
落札率:83.9%(ロット数)
ヨーロッパの信用不安は現物資産である宝石には影響が無いばかりか、結果を見ると「買い」に働いているようです。
その中で注目は76カラットのThe Archduke Joseph Diamondでした。
結果はカラーレスダイヤモンドの最高金額、カラーレスゴルコンダダイヤモンドの最高金額、カラーレスダイヤモンドの1カラット当たりの最高金額と3つのオークション記録を残すことになり期待を超えるものとなりました。
Shape: Cushion-shape
Cut: Modified Brilliant-cut
Carat: 76.02cts
Size: 28.59×21.20×15.06mm
Color: D
Clarity: Internally Flawless
Polish: Very Good
Symmetry: Good
Fluorecence: None
Type: TypeⅡa
Appendix:
Evoke references to the historic term of “Golconda”.(Gubelin)
Associated with diamonds from the legendary region of Golconda in India.(GIA)
見積価格:on Request(要問合せ)
落札価格:Sfr.20,355,000 ($21,474,525)(約17億円)
The Archduke Joseph Diamondは最初の所有者であるハプスブルグ家のプリンスArchduke Joseph August(1872-1962)に因んで命名されました。
その後彼の子息によって欧州の銀行家に売却され第二次大戦中は世に出ませんでした。
1961年6月にロンドンのオークションにかけられ、当時英国のオークションで競られた最も大きく最も品質の良いダイヤモンドとして記録されています。
再び現れたのは1993年11月のChristie’s Genevaのオークションでした。
落札価格は$6,487,945で、貨幣価値を無視しすると20年足らずで3.3倍になったことになります。
当時の石目方は78.54ctsだったので2.5カラット程研磨しなおしてリフレッシュされました。
このダイヤモンドはオークションの世界で言うprovenance(由来)がしっかりしているものなのでインドのGoloconda産であることに異論がないとされています。
GIAのAppendixでは明確にGolcondaと記されています。
ラボのレポートでGolocondaと限定するのは大変稀なことです。
ゴルコンダダイヤモンドについては次回のブログで詳しく説明します。
Christie’sがダイヤモンドについてと実際のオークションの動画をアップしているのでご覧ください。(英語)
とくに実際の競りでSfr8,000,000(約7億円)から始まっているのは、なかなか見ることが出来ません。
一声でSfr100,000(約900万円)も上がる場面はビットしている人の鼓動が聞こえるようです。