〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
そのピンクダイヤモンドはインドのゴルコンダ地方で産出され、当時この地方を治めていたハイデラバードのニザーム王国のコレクションとして受け継がれてきました。
ニザーム王国(1724-1948年)はムガール帝国でも最も裕福でゴルコンダのダイヤモンド鉱山を支配下において大粒のダイヤモンドを多く所有していました。
産出から300年以上を経て1960年 ロンドン サザビーズのオークションに”The Property of a Gentlman”として始めて公の場に現れました。
ダイヤモンドはVan Cleef & Arpelsのロンドン支店が£46,000で落札しました。
Van Cleef & Arpelsのパリの本店でお披露目のパーティーが催され、招待したインドのBaroda地方の王子Sayajirao Gaekwadに敬意を表し彼の愛称である”Princie”と命名されました。
一緒にいた母親Sita Devi, Maharanee(インドのBaroda地方のマハラジャGaekwadの第2婦人)はその美貌からインドのシンプソン婦人と称され、贅沢な生活と宝石にかける情熱で知られていました。
そして昨日53年ぶりにクリスティーズ ニューヨークのオークションに再び登場し、$39,323,750 (約38億5,000万円)と言うゴルコンダダイヤモンドとしてオークション史上最高金額で落札されました。
このダイヤモンドが次に登場するのはいつになるのでしょうか。
50年後、100年後、それとも奇特な方が現れて博物館に寄付し、我々が見ることが出来るような日が来るのでしょうか。
歴史的な宝石に巡り合える幸運に恵まれたいものです。
以下はGIAのApendexに記された内容です。
通常のピンクダイヤモンドは紫外線ライトの下での蛍光は無しかブルーですが、Princie Diamondは明るいオレンジの蛍光を発します。
このオレンジの蛍光はピンク色の起源である格子欠陥に基づき、これはゴルコンダ産のピンクダイヤモンド特徴と合致しゴルコンダタイプ ピンクダイヤモンドとされます。
700万個のグレーディングをしたGIAにおいてもオレンジの蛍光を発するピンクダイヤモンドは40個に満たないとしています。
落札結果
○Princie Diamond
Shape: Cushion-shaped
Cut: Brilliant-cut
Weight: 34.65ct
Size: 25.44×20.00×9.24mm
Color: Fancy Intense Pink
Clarity: VS2
Fluorescence: Medium Orange
Type: TypeⅡa
見積価格:on Request(お問い合わせに応じて)
落札価格(手数料込み):$39,323,750 (約38億5,000万円)
オークションで販売されたゴルコンダダイヤモンドの最高金額
1カラット当たり: $1,135,000(約1億1,000万円)
堂々の大きさと品の良い淡いピンクから育ちの良い大らかさを感じます。
長辺2.5センチ、短辺2センチのサイズとはちょうど500円玉と100円玉を組み合わせたような大きさです。
全体の深さが通常より3割ほど浅いため40カラット以上の場面があります。