〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日ジュネーブのクリスティーズオークションでオークション史上最大のD Flawlessのダイヤモンドが出品され記録的な価格で落札されました。
落札者は最近THE SWATCH GROUPに入ったHarry Winstonです。
鉱山会社から時計を中心にしたラグジュアリーグループに資本が代って、改めてダイヤモンドの世界での存在感を示す意味が強いように感じます。
早速WINSTON LEGACYと命名されました。
Size: 41.26×25.82×16.45mm
Weight:101.73cts
shape: Pear-shaped
Cut: Brilliant-cut
Polish: EX
Symmetry: EX
Fluorescence: Noe
Type: TypeⅡa
見積価格:on Request(お問い合わせに応じて)
落札価格(手数料込み): SFr.25,883,750 $26,737,913(約27億円)
オークションにおけるColorless Diamondの世界記録
1カラット当たり価格: $254,400 (約2,600万円)
歴史的な高値の相場で過去に販売された宝石が再度市場に登場することは多いのですが、このダイヤモンドは最近研磨されたものです。
原石はボツワナのJwaheng鉱山で発見され重さは236カラットとされています。
原石からの歩留まりは43%と非常に高く、原石全体のクラリティーが高かったことが分かります。
全体に平べったくファンシーシェイプに向いた原石と言えるでしょう。
同じ原石からラウンドブリリアントを研磨したら75カラット程度になってしまいます。
これだけのダイヤモンドでは当たり前ですが、研磨には21ヶ月を費やしたそうです。
職人は磨き上がるまで技術的にも精神的にも大変なプレッシャーを受けた中で作業していたことは間違いありません。
研磨の様子も確認できます。
縦横比は1.59:1とペアーシェイプ(洋ナシ形)と言うよりもティアドロップ(雫形)で万人に好まれ、輪郭も優しく弧を描いています。
プロポーション(クラウン:パビリオン比)もブリリアントカットとしては標準的で強い輝きが引き出されます。
非の打ち所の無い研磨を目指したことが分かります。
Rapaportの動画で手の平にのせた場面があります。
大きさと美しさを実感できます。
Rapaport動画
GIA Grading Report