原田コラム

2013/09/10

歴史的なメレーダイヤモンドの価格高騰収まる (下)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

DTC Rough Prices Index

ここにDTC(De Beers)のサイトにおける原石価格の推移表がある。
5つのカテゴリーの原石に関して2009年5月を100とした場合に2013年6月までの増減を示したものだ。
DTCは2001年以降、原石価格を公表しない方針を取っているが、この表はあるDTCの*ブローカーが独自に分析したもので信頼性が高い。
事実私が買い付けている研磨済みの価格も若干のタイムラグがあるがこの表に連動している。

この表の一番右のSawables-7+2に注目して欲しい。
この原石からは主に最高品質のメレーダイヤモンドが研磨される。
2009年から2010年は微増だが2011年に入ると経験したことの無い高騰が始まった。
指数は年末にかけて280を突破した。
2011年の1年だけでも2.3倍と言うとてつもない値上がりである。
この高騰をもたらしたのは欧米のブランドジュエリーとスイスの高級腕時計だ。
どちらも最高品質のメレーダイヤモンドのメインユーザーである。
それが2011年から2012年にかけて中国市場で爆発的に売れて需要に供給が追いつかない状況が続いた。
結果、彼らがダイヤモンドを確保すべく奔走し、原石の投機を生み加速度的に値上がりした。
冒頭の経済記事のように中国経済の減速でこの歴史的な高騰も今年に入って収束し始めた。
研磨済み価格は原石価格ほど収まっていないが、ピークから3割ほど値下がりしている。
但し、日本市場価格においては円安のため相殺されて大きく値下がりしていない。

*DTC(De Beers)のブローカー…サイトホルダーとDCTとの間を取り持つ業者。サイトホルダーは数社あるブローカーから選んでブローカーを通して原石を買わなくてはならない。サイトホルダーは取引金額の1%程度の手数料をブローカーに支払っている。

リ・ジュエリービジネス・レポート No. 08  2013年9月1日発行より