〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
9月11日に始まったアジアで最大の宝飾関連のトレードショーであるHong Kong Jewellery & Gem Fairが9月16日に幕を閉じました。
最近は規模が大きくなりすぎてルースは空港近くのAsiaWorld Expo Hong Kongに、ジュエリーは香港島にあるHong Kong Convention and Exhibition Centreと二つに分けられています。
今ではバーゼル、ラスベガスと共に世界三大ジュエリートレードショーになっています。
中でも目覚しいアジア経済成長を反映して香港は最も勢いのあるショーになっています。
ショーの雰囲気をご覧になりたい方は主催者の動画をご覧ください。
Hong Kong Show Movie
私は主にルースを見ています。
プレシャスストン(Ruby, Sapphire)を見るときにたくさんの出展者を全て見ることは時間的に不可能なんで目安にしていることがあります。
展示しているルビー、サファイアに産地、処理を問わずCornflower、 Kashmir-Blue、Pigeon’s blood、Royal blue等の表記をしているところは見ないことにしています。
本来ならこれらのTrade Colorは伝統的な産地に典型的な色として業界が概念的に使っているのもでラボの表記で価値が決まるものではありません。
このような表記を産地、処理問わず表示していると会社の姿勢は信頼できません。
何度も繰り返しますが、「宝石は幾らで買うかより誰から買うか」が大切です。
とは言っても産地と処理の有無程度は表示してもらったほうが分かりやすいのも事実です。
また、取っておきの商品は展示していないことがよくあります。
バイヤーの実力や本気度を確認して出してきますのでどこでも真剣な態度で臨むことが大切です。
昨年同様にルビーはモザンビーク産(加熱、無処理)が多く出回っています。
価格は2年前と比較すると既に2~3割高くなっています。
特に無処理の2カラット以上の値上がりが著しくなっています。
ブラジルのコーナーに行くとモルガナイト、トルマリンルーベライト(以下ルーベライト)、ブルートパーズで溢れています。
放射線処理トリオです。
業者はモルガナイト、ブルートパーズは100%照射でルーベライトは50%程度天然としていますが、見分けがつけられないので市場では照射扱いです。
それでもルーベライトは中国でブームなのでバイヤーが群がっています。
ロードライトガーネットを展示しているところにもルーベライトと間違えて押し寄せている有様です。
もちろんブラジルでも照射していない宝石を扱っているところもたくさんありますが、ルーベライトは売れ筋なので外せません。
パライバは相変わらず人気ですが、ジュエリーに向かないような低品質のものにも高値がつけられているのは納得がいきません。
発見当時のような鮮やかなものは殆どないので本当に綺麗なものを欲しい方は還流品の方がチャンスがあるかも知れません。
以上。