〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
「赤いダイヤモンド」と言う言葉には不思議な力がある。
人によっては「共産圏のダイヤモンド」のように聞こえる。
又は最近話題の紛争ダイヤモンドのように血に塗られた「赤いダイヤモンド」に思えるかも知れない。
ここで言う「赤いダイヤモンド」は正しく「赤色のダイヤモンド」の事で業界で「Fancy Red Diamond」と呼ばれている非常に稀少性の高い物である。
ファンシーカラーダイヤモンドのコレクターにとっては垂涎の的で米粒のかけらほどのFancy Red Diamondでも所有していることが自慢だ。
11月25日Christie’s Hong KongでFancy Red Diamondのオークションにおける記録価格が更新された。
Shape: Heart-shaped
Cut: Brilliant-cut
Weight: 2.09ct
Color: Fancy Red
Clarity: SI2
見積価格: HK$28,000,000-38,000,000
落札価格:HK$39,320,000 US$5,095,872 (約6億円)
1カラット当り:US$1,717,000
2カラットで6億円と言う価格もさることながらカタログの画像は衝撃的だった。
正にルビーのような赤色である。
本当にこの色であったら「ダイヤモンドでルビーのような赤はない」と断言していたので撤回しなくてはならない。
残念ながら日本の下見会には持ち込まれなかったので、香港のオークションまで行ってきた。
ショーケースから取り出して見たものが下の画像だ。
想像通りのFancy Redだ。
正直ホットした。
やはりルビーのような赤はありえなかった。
言うならば「透明度と彩度の高い小豆色」だ。
これも赤色の範囲なのであろう。
もっとも緑を青いと言ったり、太陽を真っ赤と多様な表現する日本人が言えた義理ではない。
でも赤色の宝石ならやっぱりルビーの赤が好きだ。
GIA Grading Report
蛇足ながら、最近オークションのカタログの画像のプロモーション色が強くなっている。
宝石はカタログを見ただけで買う人は少ないが、オークションと言う性格上実物に近い画像を心がけてもらいたい。