原田コラム

2015/02/26

2015年の宝石市場

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Fancy Pink Diamond

昨年末に今年のマーケットの傾向を計画していましたが、時間がとれずに今日まで来てしまいました。
昨年の状況を振り返りながら今年の傾向をまとめました。

○ダイヤモンドマーケット
リーマンショックで一時的に落ち込んだ相場は数ヶ月で立ち直りリーマン以前よりも強い相場が何年か続きましたが、昨年は中国市場の成長鈍化や世界的な不透明感から下げに転じました。
特にラウンドシェイプは値下がりが著しくサイズによっては1割を超えるものもありました。
ファンシーシェイプは姿形の良いものと悪いものの価格差が広がり、良いものは早い者勝ちでプレミアが付き、悪いものは値下げしても売れない傾向がさらに強くなってきました。
ファンシーカラーはピンク、ブルーが歴史的な価格で高止まりしていて人気の高さを示しています。

原石相場は常に投機的で研磨済み相場とは関係なく値上がりしますが、昨年は異常な過熱と在庫水準に危機感を抱いた金融筋が資金を絞ったのでクールダウンしました。それでもまだ研磨済み価格が十分に反映されているとは言えない状況です。

研磨済み市場は今年も昨年同様に需要不足は変わりません。
国市場も一部の富裕層向けは堅調ですが、中間層が痛んでいるので比較的高品質なジュエリーの需要が減り、アクセサリー的なジュエリーが増える傾向は続くことが予想されます。
中国市場も政府の汚職撲滅運動からブランドの需要はさらに下がらざるを得ないのは確かでしょう。
以上のことからブランドが大きな需要家であった高品質のダイヤモンドは弱含みに推移することが予想されます。
但し日本においては昨年からの円安が店頭価格に反映されていないことから、むしろ値上げのオンパレードになることでしょう。
以上を表でまとめると以下のようになります。

2015年 ダイヤモンド価格傾向

○カラーストンマーケット
無処理(過熱の痕跡を認めない)ルビー、サファイアの相場が高騰し勢いが衰えません。
特にビルマ産のルビーとカシミール産のサファイアは品数が少なく良いものに出会うのは稀です。
その隙間を埋めているモザンビーク産のルビーやマダガスカル産のサファイアも価格は上昇傾向です。
以前はモザンビーク産無処理のルビーは3カラットサイズから急に単価が上がりましたが、今では2カラットサイズ高騰しています。
エメラルドはもともと無処理(含侵処理の痕跡を認めない)の出現率が非常に低いので軽い含侵(Miner)も含めて大粒の美しいものは高値で取引されています。
特にコロンビア産で大粒の無処理のものは極僅かなので、最近はザンビア産の無処理のものを扱うブランドも増えてきています。

今年に関してもダイヤモンドは全般的に値下がり傾向ですが、カラーストンはマーケット自体が小さいため需要不足より供給不足です。特に高品質の産出は年々減少傾向でより還流市場に頼ることになるでしょう。相場も高止まりには変わりないでしょう。日本に於いては円安の定着により在庫の評価の見直しで店頭価格は値上がりも見られるでしょう。