〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
Blue Moonとは英語の慣用句の”once in a blue moon”「極めてまれに」から命名され、ひと月に2度現れる満月又はまれに月が青く見えることに由来しています。
関連は不明ですが、日本にも「月がとっても青いから・・・」と言う歌があります。
The Blue Moon diamondは2014年1月に南アフリカのCullinan鉱山で発見されました。
Cullinan鉱山は多くのTypeⅡダイヤモンドを算出することで知られています。
最も有名なダイヤモンドは1905年に発見されて英王室の所有しているCullinan Diamond1の545.67ctとCullinan Diamond2の317.40 ctで未だカラーレスダイヤモンドの歴代1,2の大きさを誇っています。
The Blue Moon diamondの原石の重さは29.62カラットで発見後1ヵ月後にCora International LLCが$25,600,000で購入しました。
当時の原石における1カラット当たりの最高価格を記録しました。($864,280/ct)
Cora International LLCは数ヶ月を費やして12.03カラットのクッションシェイプ に研磨し、GIAでFancy Vivid blue、Internally Flawlessとグレードされました。
特徴は類まれな濃く彩度の高いブルー(Fancy Vivid blue)とほぼ無傷(Internally Flawless)に加えてオレンジーレッドの強い燐光を発することです。
紫外線短波を当てた後に約20秒間オレンジーレッドの燐光を発します。
この現象は非常に珍しくインドの伝説的な鉱山(集荷地)Golconda産のブルーダイヤモンドであるthe Hopeやthe Wittelsbach-Graff diamondsにも見られます。
The Blue Moon diamondは昨年9月13日から今年の1月6日までthe Natural History Museum of Los Angeles Countyに展示されていました。
このThe Blue Moon diamondが11月11日のSotheby’sのジュネーブのオークションに登場します。
見積価格は$35,000,000-$55,000,000です。
もし上限価格に近くなればダイヤモンドのオークション価格の記録となります。
もし上限に達したら現在の日本円で約66億円以上になります。
出品者にとって約1年で25百万ドルが35百万ドルになるか55百万ドルになるか投資の結果が出ます。
あまりに現実味のない価格ですが、不透明な経済状況下で現物資産重視の傾向が続くかの試金石となります。
All photos c Cora International