〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
中国の景気減速が恒常化、英国の離脱によるEUの不況長期化、利上げに踏み切れない力強くない米国経済等の不透明感が漂う中で行われた今回の香港ショーは「来場者は回復したが、バイヤーは在庫が減っているにもかかわらず最低限の補充しかしない」と言う出展者から良く聞かれたコメントが状況を物語っています。中国からのバイヤーは期待以上の人数が来場していましたが、元気がありません。2年前に比べると人数では半減しているように思えます。
ダイヤモンドの業者の顔色は冴えません。特にメレーの需要減は深刻ですが、価格は思ったほど下がっていません。3カラット以上のD IFの価格下落が顕著です。ここ3年で年1割ぐらいずつ下がり続けています。このクラスの原石価格も下がっており、新しい原石から研磨されたもの価格が古い在庫の価格を下げて負のスパイラルが起きています。ファンシーカラーの価格は強気です。業者はカラーレスで利益が取れない中で比較が難しいファンシーカラーで補おうとしています。
カラーストンは品質で好不況が分かれています。種類を問わずTopの品質は売れています。ビルマ産のルビー、サファイアの無処理は研磨業者の在庫は僅かで還流品が主な供給源となっています。価格も還流品に競争力があります。但し、還流品しか存在しないカシミールサファイアの価格は毎年上がって手が出ません。モザンビークのルビーは既にルビーの供給の大部分を占めていて不可欠なものとなっています。
メレーダイヤの合成ダイヤモンドの混入問題の関心は高く、きちんとした業者は自社生産の物しか扱わないとか、機械で二重のスクリーニングをしている等の対策をしています。ブランド各社は供給元と契約書を交わして混入の予防に努めています。