〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日ジュネーブでサザビーズのオークションが行われました。
落札総額:CHF136,734,500($145,954,509)(約160億5,000万円)と言うBig saleになりました。
カラーレスのダイヤモンドと無処理のルビー、サファイア、エメラルドの高値はピークを過ぎた感はありますが、稀少性の高いピンクとブルーのファンシーカラーダイヤモンドは相変わらず人気です。
高額落札のTop 5は全てピンクとブルーです。
その中から特に高額な2点のブルーとピンクを紹介します。
○FANCY VIVID BLUE DIAMOND RING by CARTIER
Shape & Cut:Square Emerald-cut
Weight: 8.01cts
Size: 11.65 x 11.16 x 7.05mm
Color: Fancy Vivid Blue
Clarity: VVS1
見積価格:CHF14,760,000 — 24,590,000 (US$15,755,267 – 26,248,104)
落札価格(手数料混み):CHF17,112,500 (US$18,266,396) (約20億円)
1カラット当たり価格:US$2,280,449(約2億5,000万円)
今回のオークションのハイライトのジュエリーです。
8カラットを超えるのFancy Vivid Blueは世の中に多くは存在しません。
ブルーダイヤモンドもそうですが、カルティエのデザインも負けずにユニークです。
上からだけでなく横から美しいブルーを楽しめるように四角いアーチ状のバーでセットしています。
左右に同様のアーチを3本ずつグラデーションして配する事で高さを感じずらい工夫がなされています。
メインストンと違和感がないようにバーにはステップカットのダイヤモンドをチャネルセッティングされています。
アーチの下のリング本体にはメレーダイヤモンドがパヴェセッティングされてアーチのステップカットとの対比でメリハリをつけています。
カルティエの意欲溢れるモダンなデザインがブルーダイヤモンドのユニークさ強調しています。
それにしてもおよそ1センチ角の宝石に20億円の値がつくのは驚愕です。
少なくともブルーダイヤモンドが究極の動産であることは間違えありません。
サザビーズの動画“Dancing Within”-The Sky Blue Diamond
○FANCY INTENSE PINK DIAMOND RING
Shape & Cut: Emerald-cut
Weight: 17.07cts
Size: 19.76 x 12.57 x 7.64 mm
Color: Fancy Intense Pink
Clarity: VVS1(potentially Internally Flawless)
見積価格:CHF11,810,000 -14,760,000 (US$12,606,348 – 15,755,267)
落札価格(手数料混み):CHF 20,825,000 (US$20,798,344) (約22億8,000万円)
1カラット当たり価格:US$1,302,240(約1億4,000万円)
カラーレスでも十分な大きさの約2センチの長辺を持つ大粒のピンクダイヤモンドです。
最近はパビリオン側にプリンセスカットのような細かなファセットをつけて色を濃くするテクニックを良く使いますが、このピンクダイヤモンドは古典的なエメラルドカットなので最近の研磨でないことが考えられます。
エメラルドカットは1つ1つのファセット面が大きいので大きな反射と透明度が楽しめる玄人好みのカットです。
また、エメラルドカットは全体の深さ(Total Depth)が65%以上が殆どですが、このダイヤモンドは60.8%と理想的で17カラットとしての十分な大きさ(表面積)があります。
両脇の三角形のダイヤモンドも3.07ctと3.13ctと大粒です。
クラリティはVVS1ですが、表面のキズを再研磨するとInternally Flawlessになる可能性が高いとコメントがついています。
元はIFであったことが分ります。
GIA Diamond Grading Report