〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
2017年5月30日、クリスティーズ香港のオークションが開催されました。
結果は約80百万ドルと落札率約70%と言う結果でした。
以下に私のコメントと落札金額トップ10のリストとトップ6の画像を張りました。
月初の目をみはるジュネーブの結果を受けて楽観的なムードで始まったクリスティーズの香港のオークションはロットが進むに連れて重たい空気が漂ってきました。
前回まで異常な高値が続いていたビルマ産の無処理(加熱の痕跡無し)ルビーの不落が目立ち、サファイヤもカシミール産の様な特別に稀少性の高いものを除いて冴えません。翡翠は幾つかの1億円を超えるものは何人かの顧客によってどうにか買い支えられましたが不落が多く、中国本土の経済の停滞が続いている事を印象付けました。
ロットが進むに連れてリザーブ価格ぎりぎりでの落札が続き、最終的に約70%の落札率をキープ出来たのはオークション会社の対応力によるものです。落札総額約80百万ドルは国際オークションの結果として決して悪いものではありませが、幾つかの数億円のロットが落札されなかったら全く違う結末となったでしょう。
その様な状況の中で、これからのオークションの方向性を示す良い兆候も見られました。前半の最後に企画された香港で指折りのジュエリーデザイナーによる作品はどれも魅力的で10作品全てが落札されました。特にCindy ChaoとEdomond Chinの作品は人気が高くリザーブ価格を大きく上回り、二人の作品はリザーブ価格の2倍から3倍と言う高騰ぶりです。素材の力は不可欠ですが、それを更に引き出すプロデュース力が問われる局面になってきました。