ジュエリーの仕立てられた年代は、宝石の品質などを見るための目安にもなります。
今回のコラムでは人工的に作られた合成ダイヤモンドについてお話させていただきます。
合成ダイヤモンド~工場で作られる人工生産物~
ジュエリー用の合成ダイヤモンドは1970年にゼネラル・エレクトリック社が製造に成功しましたが、研磨され宝飾用に使われることはありませんでした。
しかし、2015年頃から合成ダイヤモンドの製造と研磨量が中国を中心に飛躍的に増えて市場に流入しました。そのため、最近作られたジュエリーにセットされた小粒ダイヤモンドに合成ダイヤモンドが使われている可能性は皆無ではありません。
大自然が生み出した天然ダイヤモンドの結晶と、人が設備を作って製造した合成ダイヤモンドの結晶は全く異なります。
天然か合成かは鑑別機材を使うと全て判明しますが、小粒のダイヤモンドをパヴェセッティングしたジュエリーなどは調べるのに大変な手間がかかります。
ジュエリー業者は天然ダイヤモンドの中に合成ダイヤモンドが混入しないように細心の注意を払っていますが、一部で不用意に小粒のダイヤモンドが混ざってしまったジュエリーがあるのは残念なことです。
合成ダイヤモンドは人が作った人工生産物です。
地質学的に生成されたものが鉱物と呼ばれるように、大自然が生み出した美しい鉱物が宝石と呼ばれ、希少で価値が高いのです。人工生産物は設備があれば好きなだけ生産することが可能となり、希少価値はありません。
工業用やアクセサリーの材料として使用されるのは問題ありませんが、天然ダイヤモンドと同じ価値は全く持っていないのです。
研磨前の天然ダイヤモンド結晶と、合成ダイヤモンド結晶の違いは明らか
~研磨後の外観では天然、合成の見分けがつかない~
研磨後の合成ダイヤモンドは外観では天然ダイヤモンドと見分けがつきませんが、下写真のように研磨前の状態では違いが見て取れます。
天然ダイヤモンド結晶 | 化学気相蒸着法で製造した結晶 |
高温高圧法で製造した 結晶 |
研磨後の合成ダイヤモンド |
2015年以前に仕立てられたジュエリーは合成ダイヤモンドの混入は殆どないはずです。
JAAGで扱うジュエリーは2015年以前から所有されていたものが殆どで、悪意のある人が故意に合成ダイヤモンドに留め替えるなどの行為がない限り合成の混入は心配いりません。
文頭でもお伝えしましたが、ジュエリーの仕立てられた年代は宝石の品質の目安にもなります。
合成ダイヤモンドの混入が心配な昨今では、信頼できるところでのジュエリー選びが大切です。
※多くのジュエリーメーカーが合成ダイヤモンドの混入を防ぐために様々な努力をしております。