原田コラム

2007/04/17

小粒宝石の稀少性

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Treated color diamonds

綺麗なファンシーカラーのダイヤモンドに見えるこの写真は、放射線処理ダイヤモンドです。

大きさは、0.4カラットサイズです。
放射線による処理ダイヤモンドの鑑別自体は器具があれば難しくはありませんので、このサイズの処理ダイヤモンドが天然として売られることはまずありません。
怪しい名前をつけて売られているもの以外は、はっきりと表示がされて、それなりの価格で販売されているものが殆どでしょう。

2年ほど前からでしょうか、鑑別関係の方から天然のファンシーカラーのロットの一部に処理が混ぜられていると言う情報がくるようになりました。
故意に混ぜて商品を作るメーカーは殆どないと思いますが、メーカーに届くまでに、幾つもの流通を経てくるものがあります。
いわゆる「不作為の過失」も考えられます。
石留めされてジュエリーに仕立てられては、更に鑑別の可能性は低くなります。
放射線処理に限らず、様々な処理がこれからも出てきますが、費用と技術の問題で小粒の宝石の鑑別は難しくなります。

ダイヤモンドのファンシーカラーでもカラーレスでも、更にはカラーストンも含めて小粒の宝石の稀少性は、もともと高くないと言ったら元も子もありませんが、消費者としては、どうしたら良いのか考えたいと思います。

オークションも含めて、私がこのようなジュエリーの査定をどのにしているかご説明します。
まず、メーカー(小売店)の刻印のないものは、ファンシーカラーのプレミアムをまったくつけません。
刻印があっても、符丁のように意味の分からないものも同様です。
メーカーや販売店がはっきりしていて、何かあったらいつでも問い合わせが出来る商品には、価値に見合った査定金額をつけます。

結論としては、国際的に通用する報告書がついているメインストンサイズの宝石以外は、上記のようなな刻印があり、最終的に責任の所在のはっきりしているものを買うのが賢明だと思います。