〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
今日は、宝石の話ではありませんが、最近読んだ本で溜飲が下がったくだりがあるのでご紹介します。
著者は、スローフード運動で有名な島村奈津さん。
本のタイトル「バール、コーヒー、イタリア人」
出版社:光文社新書
価格:¥720
イタリアには、スターバックスがないそうです。
本当にイタリアに進出できずにいるのか著者がイタリア飲食業協会に問い合わせをした結果、以下のような返事が来たそうです。
その返事が傑作で、我々の仕事にも繋がっているように思えました。以下原文をそのまま載せます。
イタリアには、スターバックスの支店はございません。
と申しますのも、あのような規模の企業が、私どもの国に投資する意味がないと言う事情によるものでしょう。
つまり、こういうタイプの企業は、その過程においても、商品そのものについても、正確で厳しいマニュアルに従って生み出されたものであり、どうしても、スタンダードなものにならざるを得ないわけです。
私どもの国は、食べ物との関係をとりたてて大切にする社会です。
それは同時に、食品とレシピの多様性、そして伝統とのつながりを大事にしており、そのことが、世界におけるイタリア料理の価値を高めているのです。
チェーン店の融通の利かなさは、こうしたヴァラエティに富む世界にはなじまないものです。チェーン店のマニュアルが、この国においては必要不可欠イタリア化と言う“汚染”を受け入れない限り、難しいでしょうね。
例えば、マクドナルドが、そのメニューにパスタやピッツァ、大きめのサラダといったイタリアの伝統料理のメニューを少しずつ加えていき、さらには、それを世界の他の地域にまで紹介していったようにです。
スターバックスに限っていえば、イタリアにないもう一つの理由は、私どもの国には無数のバールが存在していますし、彼らが経済的に潤えるような隙間が見当たらないということもあるでしょう。
唯一、進出してくるとすれば、すでにあるバールを買収していくことしかないでしょうが・・・・・。
因みに私は、スターバックスへは殆ど行きません。コーヒーよりも紅茶が好きなことと、たまに飲むエスプレッソに関してもスターバックスと味覚の方向性が合いません。
皆さんは、如何でしょうか。