〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
前回のブログにコメントをいただきましたが、返事が長くなったので、本文でお答えします。
紅玉様
いつもコメントありがとうございます。
ブログを見ている方はたくさんいますが、コメントをいただくと励みになります。
さてお問い合わせの件ですが、私は「宝石の処理」を否定しません。
但し、「稀少性」において無処理のものと処理のものでは、稀少性に大きな差があります。
稀少性は需要と供給によって決まり、価値に結びつきます。
美しさと価値を判断するのが、私の仕事です。
ルビーやサファイアの無処理で美しい宝石は、供給には限りがあります。
多くの方が装身具を楽しむためには、加熱等の処理で供給量を増やさなくてはなりません。
処理によって供給が飛躍的に増えるので、稀少性も下がります。
処理のアクアマリンやルビーと無処理のままで美しいロードライトやペリドットの宝石としての価値は、稀少性の違いにあると思います。
稀少性は供給に対して需要(欲しい方の数)が多いか少ないかで決まります。
但し、処理は次々と進化したしたものが現れて、より品質の低いものが処理によって宝石に変わります。
残念なことに「良貨は悪貨に駆逐される」の言葉通り、価値は後から出てきた処理の価値に収斂します。
そのことから考えると現在処理されて流通している宝石の価値は、将来更に下がる可能性がありますので、たとえ現在安価でも無処理のままで美しい宝石に魅力を感じるのは、私だけでしょうか。