〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
Flawlessの話の続きとしてInclusionとImperfectionについて触れておきたいと思います。
ダイヤモンドのクラリティグレードにはFlawlessとInternally Flawlessを除いてアルファベットの“I”が入っています。
VVSは、Very Very Slightly Inclusion(大変、大変僅かな内包物)
VSは、Very Slightly Inclusion(大変僅かな内包物)
SIは、Slightly Inclusion(僅かな内包物)
Iは、Inclusion(内包物)
Iクラスは3段階、それ以外は2段階に更に分かれています。
私が、23年前にGIAの勉強をした際は、“I”はImperfection(不完全性)でした。
いつのころからか、“I”はInclusionになっていました。
恐らく、業界からの依頼にGIAが譲歩したのだと思います。
Inclusion(内包物)には、「含まれているもの」と言うポジティブなニュアンスがあります。
それに対してImperfection(不完全性)にはポジティブかネガティブかが判断できませんが、何かしら不完全なものがあり、それを判断しなくてはならない響きがあります。
不完全性が「欠点」になっている場合と「特徴」となっている場合があります。
それを見極めるのがプロです。
この点から、クラリティグレードの“I”オリジナルのImperfection(不完全性)が相応しいと思います。
自然が作るものは、全て不完全です。
宝石も不完全です。
「不可全性」を楽しむのが宝石です。
不完全でない完璧な宝石が欲しいのなら合成石になります。
今までは、上記のように考えていましたが、先日、弊社のオーナーがダイヤの原石バイヤーとこの話をしたら、バイヤーは、「研磨済みは、Imperfectionだが、原石はInclusionだ。」と主張したそうです。
言われてみれば、原石の段階では、それが「欠点」になるか「特徴」になるかはその後の研磨次第です。
この段階ではImperfection(不完全性)よりもInclusion(内包物)が的確な表現ではないでしょうか。
どちらでも良いではないかと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、私は言葉を大切にしたいと思います。
皆様は如何お考えでしょうか。