〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
いつも楽しみにしている日経新聞のスポーツ欄の豊田泰光さんのコラムに「若いときは肉体が、そのうち経験が、最後は頭が(ヒットを)打たせてくれる」とありました。
これは、1958年に来日したカージナルスのスタン・ミュージアルが言ったそうです。
豊田さんは、以前にもこの言葉を紹介していますので、よほど印象に残っているのだと思います。
この言葉はどんな仕事にも当てはまると思います。
私の場合は、20代、30代は朝7時過ぎから夜9時、10時過ぎまで、土曜日、たまに日曜日まで遮二無二働きました。
加えて、20代の半ばからはムンバイに年間10回、20代後半から30代は、アントワープ、バンコク等が加わりに年間10~15回海外出張をこなしました。
宝石バイヤーとして油がのり始めた頃と日本のバブル景気が重なったために、常識では考えられない買い付け回数を短期に経験できたことは、運が良かったと思います。
週末にヨーロッパの8時間も時差があるところから帰って、時差ボケが解消した次の週末かその後の週末に再びヨーロッパに行くという生活を何年も続けることが出来たのは、体力があったからだと思います。
まさに「若いときは肉体が、」そのままです。
40代からは、景気が悪くなったことから出張の回数は減っていきました。
体力的にも以前のような無茶が出来なるなってきましたので、不景気にも味方され、全くついています。
この頃から、ジュエリーの査定・仲介業務にも乗り出しました。
これは、それ迄の宝石の買い付けとジュエリーのプロデュースの経験があって初めて出来ることです。
まさに「そのうち経験が、」です。
50歳も近くなったこの頃ですが、まだ「経験」でヒットが打てそうです。
いつになったら「最後は頭が、」になるのでしょうか。
この文章を書きながら、本当は、既に頭で仕事をしなくてはならない歳になっているのではないかと不安になりました。
さて、皆さんは「肉体」、「経験」、「頭」のどの段階でしょうか。