〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
6月27日のブログで「フローレスは買わない」と書きました。
では、では具体的にどんなものを買ったら良いのかというお問い合わせをいただきました。
今日は、クラリティーによる価格差から考えたいと思います。
例えば、1カラットサイズのD color, Internally Flawless(IF)を100%とすると同じDカラーでクラリティーグレードの違いでどんなに価格差があるのでしょうか。
現在、買い付けの際、国際的にベースになっている比率を紹介します。
実際は、透明度や欠点の有無やプロポーション等の要素が考慮され、個々のプレミアムが異なりますので多少前後します。
IF :100%
VVS1 :71%
VVS2 :64%
VS1 :51%
VS2 :46%
これで分かるように、VS2はIFにいたいして46%、つまり2.15倍の価格差があります。
SIクラスと比較すると更に差が大きくなりますが、SIクラスは品質の幅が大きいので、ここでは、VS2までとします。
ダイヤモンドでは、IFからVS2まで5段階にも分かれますが、ルビーやサファイアでは同幅の不完全性は、ほぼ無傷として扱われ、これだけでは差がつきません。
エメラルドに至っては、これほど不完全性が少ないものは、殆ど皆無です。
もし、この差が2割や3割でしたらInternally Flawlessもお勧めできます。
では、現在1カラットサイズのDカラーのInternally Flwalessと同額で同じDカラーでVS2ならば、どの位の大きさが買うことが出来るでしょうか。
(サイズが上がると1カラット当たりの単価も上がりますので、このチャートだけでは算出できません)
答えは、1.6カラットサイズです。
何だ、その程度かと思われますか。
実は、重量では大きく差がつかないように思われますが、見た目の大きさは大きく異なります。
直径では、1カラットサイズは、約6.5ミリですが、1.6カラットサイズは、約7.6ミリになります。
これは、2カラットサイズの8.2ミリにかなり近くなります。
因みに、ラウンドブリリアントカットの場合、1.5カラットや2.5カラットの中間サイズは、下のサイズより上のサイズに見た目の大きさが近くなります。
お買い得なサイズと言うことになりますが、研磨業者は原石から出来るだけ大きなサイズを研磨しようとしますので、1.5カラットは2カラットに2.5カラットは3カラットに多少深くなっても仕上げますので、実際は市場に少ないサイズです。
私や私の周りのプロの人たちは、同じ金額でしたら殆どが1.6カラットサイズを選びます。
但し、これには、そのダイヤモンドは、美しさや耐久性に与える欠点がないことが前提です。
また、ダイヤモンドのカラーは大きくなればなるほど差がはっきりしますが、1カラットぐらいでは、Dカラーに拘る必要はないと考えるプロは少なくありません。
カラーの稀少性を下げると更に大きなダイヤモンドの購入が可能です。
私は、宝石に関しては「小さな葛篭(つづら)」より「大きな葛篭」が好きです。
皆さんは、どちらの葛篭がお好きでしょうか。