〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
毎日、ジュエリーの査定をしていますが、今日はオークションの査定がピークで、他の仕事が出来ませんでした。
査定は、稀少性が高くなればなるほど、時間がかかります。
見る時間も結論を出す時間も長くなります。
特に無処理のルビー、サファイアやファンシーカラーのダイヤモンドは査定が終わっても、何度も見直します。
宝石は一つ一つが異なるので、時間が経ってから見直すと違う要素が見えてくることがあります。
買い付けは、自分の美しさの価値観だけで判断しますが、査定は他の人が作ったジュエリーに価格をつけていきますので、より幅が広くなります。
今日は、ファンシーカラーの高品質なものに時間が取られました。
ジュエリーのプロデュースの仕事が溜まっています。
明日は出来るだけ、「石合わせ」をやりたいと思います。
「石合わせ」とは、デザイン図やラフスケッチに合わせて石を並べて、バランスを確認する作業です。
この作業が宝石を主体とする装身具では重要です。
宝石の美しさは3次元ですので、描いた絵だけでは分かりません。
平面に並べて、分からないときは粘土の上に置いて、角度を調節したり、立体的な美しさを追求します。
でも、この作業で美しい宝石の装身具が出来るわけではありません。
いくら「石合わせ」が思ったように出来ても、腕が良く、感性の鋭い職人さん抜きでは話になりません。
美味しい料理に良い素材は不可欠ですが、その素材を生かす腕の良い料理人がいなければならないように、ジュエリーも最後の決め手は、職人さんにかかっています。
本当に美しい素材も、一流の仕事が出来る人材も限られているので、ちょうどバランスが取れているのかも知れません。