〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
■本日のニュース
軍事政権に抗議するミャンマーでの僧侶デモは昨日、旧首都ヤンゴンで1万人が行進し、市民ら約1万人もこれに合流して最大規模に膨らんだ。
また初めて「(民主化運動指導者の)アウン・サン・スー・チー氏を含む政治犯の解放を」「国民和解を」といった政治的スローガンを連呼し市内を練り歩く様相となっており、反軍政抗議活動は新たな局面を迎えた。
僧侶らはこれまで経を唱えて行進するだけだったが、この日は政治的な主張もし始めた。
これまで沿道で飲料水や食料を提供する程度の支援にとどまっていた市民らもデモ行進に合流。外国人の姿もあった。
ミヤンマー(ビルマ)は、宝石の宝庫です。
ルビー、サファイアに始まり、ヒスイ、スピネル、ペリドットと上げたらキリがありません。
しかも、ミヤンマーがその宝石の最高の産地とされるものばかりです。
もし、今回の運動で本格的な政変が起きて、ミヤンマーが民主化されたら宝石はどうなるでしょう。
規制が撤廃されて、外資が自由に投資や取引に参加して、扱い量も金額も増えて活発になるのでしょうか。
そのヒントは、ロシアにあるように思えます。
共産主義が崩壊して、ロシアが民主化された後、世界のダイヤモンド業者がこぞってモスクワ詣でをして原石を競って買いました。
その後、政治が安定してくると、政府が資源の管理の強化を始めました。
原石の販売は、現地に研磨工場を作ることとが条件になり、雇用の向上を図られました。
当初は経済が困窮を極めていため、人件費も世界でも最も低いレベルでしたので、業者は競って工場を建設しました。
その後、経済が持ち直すと、当然のことながら人件費は高騰し始めました。
現在は、原石の安定調達の意味しかありません。
もちろん、それだけでも十分ですが、世界的な高騰を背景に、資源の国家管理は共産主義の時よりも強くしたたかになっています。
外資にとって、これからは更に厳しい状況が続くことが予想されます。
もし、ミヤンマーが民主化されたら、一時の混乱はあるでしょうが、もっと早く鉱山の国家管理が徹底され、多くが入札制度になるかも知れません。
そうなったら、稀少性が高く、世界的に人気のある無処理のルビー、サファイアの大粒は更に高騰するかも知れません。
ヒスイは、中華系に好まれるローカルな宝石ですが、中国の更なる発展で同じように高値を呼ぶ可能性はあります。
しかも、ダイヤモンドは世界の多くの国で採れますが、ルビー、サファイアやヒスイはミヤンマーに代わる魅力的な産地は殆どありません。
世界景気と富の二極分化の進展しだいですが、長期的に見るとミヤンマーの宝石を安く買えるチャンスは少ないように思えます。
ますます、還流品が重要になってきます。
皆さんは、どう思いますか。