〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
リング以外の装身具には、体につけたり、衣服につけるために色々な金具が使われています。
ユニバーサルデザインのように大きな金具を作れば、使いやすくなりますが、スマートではありません。
装身具としてのイメージを壊さないように作ると小さくなり、使いづらくなります。
メーカーは、相容れない2つの条件を勘案して金具を選びます。
満足できない場合は、オリジナルを作らなくてはなりませんが、パーツにはジュエリー本体とは異なる堅さやバネ性に加えて大量生産が求められるため、専業のメーカーの作ったものを使っているのが現状です。
弊社では、定期的に金具を見直して、最良なものを採用したり製作しています。
場合によっては、専業メーカーに協力していただいてオリジナルバーツも作ります。
今日は、現在行っているネックレスの金具の改良の経過をおしらせします。
これは、一般的に使われているネックレスの金具です。
左が「引き輪」、右が「プレート」と呼ばれています。
「引き輪」は古くからほぼ同じ形で使われ続けられているので、完成された形の一つだと思います。
「引き輪」が登場してから、色々な金具が考案されてきたはずですが、淘汰されずに何十年も残ったと言うことは替えがたい魅力があるのでしょう。
問題は、「プレート」です。
アンティークなどには、プレートは使われていません。
丸線を楕円にした物などが使われています。
恐らく、プレートは刻印のために登場したのではないかと思います。
特に大蔵省(財務省)造幣局の地金純度の検定刻印を入れるスペースが必要だったのではないでしょうか。
薄い貴金属の平板を打ち抜いただけの何とも高級感に欠けます。
地金の純度が販売促進になっていた時代の名残です。
このプレートを使いやすく、高級感のあるものに出来ないかと考えて下のような金具を作りました。
アンティークを復活させただけの楕円では、芸が無いので、卵形にして線の強弱もつけてみました。
チェーンを繋げる丸環を卵型の線に対して十字に繋がずに平たく繋いで、指に当たる違和感をなくしました。
打刻スペースがなくなったので高級感のある少し厚みのある楕円のプレートにつけたところ、期せずして、引き輪を持つときに持ちやすくなりました。
何人にも試してもらいましたが、評判はまずまずです。
試作品としては、合格点です。
更に改良して良いものを作っていきます。
ご意見や体験談がありましたら、ご協力ください。