〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日のニューヨークのクリスティーズのオークションで落札された天然真珠をご紹介します。
約29.50×14.23mmのドロップシェイプ(露型)は、朝露が葉から落ちていく瞬間を捉えたような見事な形です。
自然に真珠が出来る確率は、気の遠くなるようなものです。
その中で、美しいことは言うもでもありませんが、この大きさと計算尽くされたような形の真珠があること自体、奇跡です。
落札価格は、US$289,000(手数料込み)、日本円で約3千4百万円にもなります。
現在宝石店の店頭の真珠の殆どは「養殖真珠」です。
ご存知のように、御木本幸吉氏によって発明されて世界に広まりました。
それまでの天然真珠は、非常に高価でダイヤモンドを凌ぐほどと言われています。
最近では、稀少性が見直され、養殖真珠の出現する前のような価格に戻っています。
これは、ルビーやサファイアの無処理と加熱処理の価格差がますます開いていくのと同じ流れです。
本来の稀少性が戻ってきました。
20世紀の後半は、人間の手によって作り出されたものと自然が作ったものの稀少性の区別が曖昧でしたが、21世紀は、その差がはっきりして、本来の稀少性が評価される時代です。
私は、今まで真珠は扱っていませんでしたが、「美しい天然真珠」に出会えたら、取り扱いたいと思っています。
昨日のオークションの目玉は、5.07ctのFancy Intense Blue VS2のリングでした。
結果は、US$2,885,800(手数料込み)1カラット当たりUS$113,000、日本円で約3億3千8百万円 1カラット当たり約1千3百万円です。
実際に拝見していないので分かりませんが、写真で見る限り魅力に欠けるように思えます。
引き続き、強い相場が続いています。