〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
イーダーでの仕事を終えて、ダイヤモンドの買い付けのためにアントワープに移動しました。
写真は、Hoveniersttraat(ホーベーニー通り)です。
アントワープの3つのダイヤモンド取引所とダイヤモンド業者がオフィスを構える殆どのビルがこの100メートル程の通りに面しています。
ここには、ダイヤモンドの原石又は研磨済の売買のために世界中から集まります。
その顔ぶれにその時の世界の経済情勢が現れます。
ここ20年を振り返ってみると、1990年からの数年を除いて米国からのバイヤーは安定しています。
やはり、世界のダイヤモンド需要の半分近くを支えている国は実力が違います。
但し、今年は景気の減速で少なくなっているような気がします。
一定して増え続けているのがインドからの業者です。
今では、金額も人もユダヤ人を凌いで、アントワープの中枢を占めています。
1990年前後は日本人が溢れていました。
この通りを歩いていると、必ず知り合いに出会いました。
今では、殆ど会うことはありません。
寂しい限りです。
日本のバブルが弾けて、本格的な不況に入った頃に韓国人が増えた時期がありました。
韓国の経済危機によって、蜘蛛の子が散るように姿が見えなくなりました。
最近、増えているのは中国を中心としたアジア系の人たちです。
日本人と思って声を掛けると、中華系のアジアの方ということが多くなりました。
ロシアの人たちも見かけますが、需要に比較すると少なく思います。
産出国なので、自給自足で十分なのかも知れません。
まだ、回顧して懐かしんでいる歳ではありませんが、変遷を顧みて未来を考えることも重要です。