原田コラム

2007/11/07

アントワープ市況 ③

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

DTCのサイトのあり方が変わってきています。ナショナリズムの興隆によりアフリカ各国の政府が資源の主導権を握り始めました。
既に南アフリカ16社、ボツワナ16社、ナミビア11社のサイトホルダーを政府と一緒に決めています。
ヨーロピアンコミッティの裁定により2009年よりはロシア産の原石も入手が不可能なので、ロンドンのサイトも何れアフリカ3カ国に集約されるのではないかとの憶測もあります。
DTCはそのほかにカナダにSnap LakeとVictorの鉱山を持っています。
合計すると世界の原石の金額で40%~45%を占めていると思われています。

続くロシアは約25%、オーストラリアのArgyle鉱山とカナダのDiavic鉱山の他、ジンバブエにも鉱山を持っている「Rio Tinto Zinc」は約15%、カナダのEkati鉱山の「BHP Billiton」は約8%を占めていると考えられています。

鉱山会社の管理下になく、金額で約15%を占めるアンゴラは重要です。
以前は、「Lev Leviev」氏率いるグループが優勢でしたが、かつての勢いはありません。
原石をめぐって各業者は公式、非公式に激しい競争をしています。

独占から寡占、サイトから入札、鉱山会社から国家管理と原石をめぐる環境は変わっていますが、美しさを楽しむというジュエリーの本質を忘れないようにしようと思います。