〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
プラチナ950で作った空枠が上がってきました。
いよいよ仮縫いです。
空枠を真上から見たところです。
まだ、ベゼル(石座)の仕上げは十分ではありません。
これだけ見ても皆さんにはイメージが湧かないと思います。
実際に宝石を乗せると、いっぺんにジュエリーらしくなります。
上からは、対称性やダイヤとダイヤの隙間のチェックを行います。
ハートが取ってつけたようになっていたのを、先端をルビーに押し込んで違和感をなくしました。
ダイヤモンドの輝きの塊が四角張っていたのは、ペアーシェイプのお尻ももっと押し込むことでオーバルのルビーの形に沿って調和させました。
また、ダイヤとダイヤの隙間が開きすぎていたので、ほんの少し間隔を取ってハートとペアーシェイプの形を強調すると同時にダイヤモンドが連鎖して輝きが増すようにディレクションされています。
隙間がばらばらに見えますが、実際に石留めするときっちり調整されて上がります。
空枠を横から見たところです。
左右のハートのベゼル(石座)が高く、その次に天地のハートで、一番下にハートの間のペアーシェイプが位置しているのが分かります。
リングのショルダー(肩)は先細りにして繊細さを出して、更に先端を少しそり返すことで上から見たときに宝石だけが指に乗っているように見えるつくりをしています。
ショルダー(肩)とその下のローワーベゼル(指なじみ)の間の三角形の隙間を大きく空けることで軽やかに仕上げています。
肩には、幅いっぱいのシングルカットのダイヤモンドをビーズセット(彫り留め)して、華やかさを添えます。
実際に宝石を乗せると、このようになります。
ダイヤモンドは乗せているだけなので、ベゼル(石座)から浮いていますが、石留め後は綺麗に収まります。
下から見ると爪に強弱がつけられているのが良く分かります。
上から下にかけてスーと細くすることで表情を豊かにしています。
斜めから見たところです。
ペアーシェイプの段差が足りないのが気になりました。
宝石を乗せて確認しても、やはり落とし込みが足りません。
再度、更に下げるディレクションを追加しました。
やはり、仮縫いは一度ではすみませんでした。
この角度から見るとルビーもダイヤモンドも透明度が際立っていることが良く分かります。
今回は、ルビーの明度と透明度が高いのでプラチナの爪を採用します。
爪の金性は、宝石の特徴を見て決定します。