原田コラム

2008/02/19

希望・楽観主義・寛容

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

5ct size Kashimir Sapphire Ring

2月17日(日)米ワシントンポストは社説で民主党オバマ氏のことを以下のように伝えました。

「オバマ氏が民主党大統領候補の争いで先頭に立ったのは、米国の問題を希望楽観主義、そして寛容の言葉で語ったからだ」

簡潔にオバマ氏優勢の理由をまとめたことに感心しました。

この社説の言葉を反対の言葉に置き換えると、「問題を絶望、悲観主義、偏狭な言葉で語る」になり、比較しやすくなります。

例えば、宝石の処理の情報開示と無処理の宝石について、販売する人が以下のように話すと希望も何もなくなります。
「今まで特に説明していなかったのに、処理されていることが分かったら売れなくなる。過去に売ったものはどうするのか。」
「処理されているものと無処理のものを一緒に売れば、処理されたものが売れなくなる。」
「お客さんには、教えすぎると商売がしづらくなる。」

これを、オバマ氏風に話すとこんな具合でしょうか。
「過去は過去として、今出来ることから始めましょう。」
「お客様に産地や処理の有無に関して十分な説明と表示をしていきましょう。」
「もし処理の説明をしたことでお客様が処理した宝石の購入を望まない場合は、処理を必要としない宝石をお勧めすることが出来ます。」
「何故なら、宝石の半分以上は処理を必要としません。更に売り上げの多くを占めるダイヤモンドの殆どは処理されていません。」

私も問題を抱えたときにはオバマ氏のように前向きに話すよう心がけたいと思います。

写真は、5カラットサイズのカシミール産サファイア(無処理)のリングです。