〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
ダイヤモンド、大粒品の卸値上昇
ダイヤモンドで大粒クラスの国内卸価格が上昇している。
2カラット(Gカラー、SIクラス)の卸値(一次卸)は75万円~85万円で半年前より5万円(6.6%)前後上昇した。
国際価格が大粒品を中心に上昇している流れを受け、国内でも転嫁の動きがでた。
大粒品は質の高い鉱石の減少で供給が減っているうえ、先行きの値上がりを見込んだ買い付けで国際相場が上昇している。
この余波で2カラット級の国内卸値も上昇した。
宝飾品メーカーの高額在庫は小粒品に比べて低水準で、値上げが通りやすい環境にあるという。
一方で0.3カラットは同13万円~15万円、0.5カラットは20万円~23万円とほぼ同水準が続く。
景気減速で国内の宝飾市場は低迷が続き、宝飾品市場は低迷が続き、宝飾メーカーは素材の手当てを控えている。
また金やプラチナなどの素材の上昇で、小売店価格を抑えるため品位の低いダイヤを使うダイヤを使うなどコスト削減の姿勢が強い。「値上げを要請してから浸透まで3ヶ月かかった。」(商社)との声も出ている。
上記のように本日の日経新聞の商品欄に久しぶりにダイヤモンドの相場に関する記事が載りました。
新聞の記事は、その業界の方にとっては既に古くなっている情報が少なくないのですが、今回の記事を段落を追いながら、事実と照らし合わせて解説したいと思います。
ダイヤモンド、大粒品の卸値上昇
ダイヤモンドで大粒クラスの国内卸価格が上昇している。
2カラット(Gカラー、SIクラス)の卸値(一次卸)は75万円~85万円で半年前より5万円(6.6%)前後上昇した。
国際価格が大粒品を中心に上昇している流れを受け、国内でも転嫁の動きがでた。
国際的には大粒ダイヤモンドの高騰は既に2年以上前から続いています。
当初は1カラット以上のダイヤモンド、次に2カラット以上になり、最近は3カラット以上が値上がりを続けています。
実は2カラット以下は、1年以上前に落ち着いています。
日本はこの間の景気が悪いために値上がったダイヤモンドの新規の仕入れが少なかったのでタイムラグが生じました。
現在は4カラット以上のサイズが強く、特に5カラット以上は2年前に比べて倍近く値上がりしています。
大粒品は質の高い鉱石の減少で供給が減っているうえ、先行きの値上がりを見込んだ買い付けで国際相場が上昇している。
この余波で2カラット級の国内卸値も上昇した。
まず、「鉱石」は「原石」という言葉が宝石には適しています。
質の高い大粒ダイヤモンドはもともとその年に産出されたものは少なく、還流品が主流なので、供給が減っていると言う表現は正確ではありません。
また、先行きの値上がりを見込んだ買い付けもあるでしょうが、BRICS等の新しい富裕層やオイルマネーが進んで大粒宝石を買っているのが大きな理由です。
宝飾品メーカーの高額在庫は小粒品に比べて低水準で、値上げが通りやすい環境にあるという。
輸入卸の段階では、仕入れは国際相場なので、卸価格はおおかた値上げ済みです。
一方で0.3カラットは同13万円~15万円、0.5カラットは20万円~23万円とほぼ同水準が続く。
こちらは、横ばいですが、10年ぐらい前に比較すると反対に値下がり気味です。
このサイズが値上がりしたのは、日本の景気が良かった時です。
景気減速で国内の宝飾市場は低迷が続き、宝飾メーカーは素材の手当てを控えている。
また金やプラチナなどの素材の上昇で、小売店価格を抑えるため品位の低いダイヤを使うダイヤを使うなどコスト削減の姿勢が強い。「値上げを要請してから浸透まで3ヶ月かかった。」(商社)との声も出ている。
食べるものは、安い素材を使うと味が落ちるのでコストダウンには慎重になります。
結果、質より量の犠牲を取って、内容量を減らして店頭価格を抑えることもあります。
ジュエリーは細かな差が分かり辛いので、安易に宝石の品質を下げたり、貴金属の品位下げて店頭価格を抑えようとする動きが多くなります。
ここ2年の貴金属や宝石素材の値上がりは企業努力を遥かに超えるため、弊社の商品も何度か値上げをしました。
反対に値上げがなかったものは、品質を疑った方が良いということです。
私は、新聞を読むのが習慣になっています。
新聞に載っている情報は、既に遅いと言う指摘もありますが、もともとタイムリーを求めない異業種で起きていることを知ることでは、未だに良質な情報源です。
読み方に訓練は要りますが、世の中の大きな動きを掴むことも出来ます。
情報源での紙媒体の地位が低下していますが、がんばってもらいたいと思います。
上の写真は、20カラットサイズのペアーシェイプのダイヤモンドです。