原田コラム

2008/03/14

ドル安とダイヤモンド価格

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Diamond Rough

昨日から一時的にUS$1が100円を切り、12年ぶりのドル安で市場は大騒ぎです。
為替では一喜一憂しないことにしている私も無関心ではいられなくなってきます。

為替が動くとダイヤモンドの価格にどのように影響するのでしょうか。

宝石の取引は、米ドルで行われます。
ドル建てで決済されている他の輸入品と同じく、円高になるとダイヤモンドも安くなると考えるのが一般的です。
しかし、今回は新聞でも報道しているように、ドルの独歩安です。
という事は、米国以外の国はその国の通貨に換算すると受け取る金額が少なくなってしまいますので、ドル安分値上げする動きが出てきます。
時間差は多少ありますが、いずれ追いついてきますのでドル安ですぐに日本でのダイヤモンドが安くなることはありません。
特に小売店頭価格は、短期の値動きでは変わりません。
傾向が定着することと商圏の競争を見極めて、在庫の簿価と相談して価格変更しますので緩やかです。
ダイヤモンド以外の宝石の場合は、取引の頻度がより少ないので更に穏やかな動きです。
但し、ドル安は米国での買い物にはメリットがあります。
今度のゴールデンウイークをハワイで過ごすのも良いですね。

それに引き換え私のビジネスは国際相場に合わせてドル建てで値段をつけています。
決済はその日の為替レートですので、ここ1ヶ月で在庫の価値が1割ほど目減りしました。
反対のケースもありますので気にしないことにしていますが、実際は気分穏やかではないのが修行が足りないところです。

写真は、1カラットサイズのロシア産のダイヤモンドの原石です。
クリスタル(八面体)と呼ばれる綺麗な形の結晶です。
形状からプリンセスカットに向いています。