〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
前回のブログで今回のドル安ではドル安分だけ相場が上がるので、ダイヤモンドの価格は安くならないと書きましたが、思ったより早くマーケットは反応しました。
ブログがアップされて、まもなくニューヨークの会社が発行しているダイヤモンド価格指標が上がりました。
正確には、ラウンドシェイプの1カラット、ファンシーシェイプの3カラット以上のVSクラス以上のものが満遍なく1割程度上がりました。
ここ数年続いている大粒ダイヤモンドの値上がりも最近は、2カラット以下のサイズは収束ぎみで、3カラット以上の高品質に集約される傾向でした。
今回は1~2カラットサイズまで含めて、一律的に相場が上がったことから「ドル安」分の調整であることが分かります。
需要の強いアイテムから調整が始まり、人気がないところを除いてこの傾向は全体に及ぶことでしょう。
米国以外の国では今回のダイヤモンド価格の上昇をドル安で相殺出来ますが、米国人にとっては純粋に値上がりです。
当たり前ですが、通貨が弱くなると輸入品は高くなり、インフレの要因になります。
他の国を同情するほど余裕はありませんが、良い時期が長かったので辛いときです。
日本には円高を嫌う風潮がありますが、急激なものでなければ国力が評価された結果なので、デメリットを克服してメリットを享受したいものです。
ダイヤモンド価格指標は、バイヤーが交渉のベースにしているものです。
そのまま、一般の方が使えるものではありません。
宝石は、一つ一つが異なります。
同じものは2つとありません。
4Cが同じでも美しさはそれぞれです。
同じグレードでも玉石混交です。
プロのバイヤーは、美しさを見極めて一つ一つのプレミアムを考えて価格交渉します。
同じグレードでも一つ一つ価格は異なります。
透明度が高く私が美しいと思えるダイヤモンドは、たとえVSクラス以上の稀少性の高いクラスでも1割もないのが現実です。
良いものをお探しでしたら、信頼できるプロにお願いするのが早道です。
くれぐれも「ババ」を引かないようにご注意ください。
写真は、10カラットサイズのダイヤモンド原石です。