〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
カシミールサファイア
展示されていない秘蔵のカシミールサファイアを見ることが出来ました。
堂々の15カラットサイズの迫力に、暫し我を見失って見とれてしまいました。
1930年代に作られたリングは、アールデコ様式の特徴を備えています。
恐らく、1900年頃のリングをリモデル(作り替え)したものと思われます。
完成度の高いデザインは今でも立派に通用します。
ビルマ産のロイヤルブルーのような深い色にカシミール産独特のベルベティな優しさが加わっています。
もし、この濃さで5カラット未満でしたら、カシミールらしさは失われていたことでしょう。
大きさが美しさの源と言う宝石の本質に迫るサファイアです。
価格は、過去のオークションでも同様の品質のものが1カラット当たり10万ドル(約1,000万円)を超える値段が付いたこともあるので、億単位であることは間違いありません。
オークションにかけられて、お金持ちのコレクションに加えられるか、枠から外されて新たなブランドとして店頭に並ぶのか興味があるところです。
このリングを見て、私も時代を超えて通用する仕事をしなくてはならないと、意を新たにしました。