〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
5月28日に香港で行われるクリスティーズのオークションに参加します。
私が注目する宝石のいくつかをご紹介します。
後日オークションの結果をご報告しますので、楽しみにしてください。
まずは、今回最も充実している無処理のコロンビア産のエメラルドから始めます。
最初にお詫びしますが、私の写真の腕が悪いのでエメラルドの色が再現出来ていません。
実際は、もっと美しい色です。
〇ロット番号2286
プラチナ エメラルド ダイヤモンドリング Boucheron製
エメラルド8.81カラット
透明度が高く、程よい濃さのコロンビア産の無処理のエメラルドです。
クッションシェイプの四隅を板爪でベゼルセッティングのように留めることで輪郭の優しさを強調しています。
リングのショルダー(肩)にステップカットのダイヤモンドをベゼルセッティングすることでモダンに仕上げています。
クッションシェイプにステップカットの組み合わせからエメラルドは古いものではないかと想像させます。
ご丁寧にSSEF、AGL(American Gemological Laboratories)、GUBELINの3つのコロンビア産無処理のレポートが付いています。完璧主義のオーナーなのでしょうか。
〇ロット番号2344
プラチナ エメラルド ダイヤモンドリング
エメラルド14.31カラット
透明度が高く、僅かに青味がかったコロンビア産の無処理のエメラルドです。
エメラルドは、四隅を2本ずつの小さなイーグルクロー(鷲爪)でプロングセッティングし、エメラルドそのものの輪郭を損なわないようにしています。
エメラルドだけで十分な大きさがあるので、脇のダイヤモンドは縦長でリングの腕(シャンク)とバランスの良いトラベズカット(台形)を採用して華やかさを演出しています。
カタログには、典型的なムゾー又はチボー鉱山の色とあります。
GUBELINのコロンビア産無処理のレポートが付いています。
〇ロット番号2345
プラチナ エメラルド ダイヤモンドイヤリング
エメラルド 10.50+8.56カラット
抜群の透明度に少し青味がかった彩度の高いコロンビア産の無処理のエメラルドです。
クッションシェイプの内側から湧き出るメリハリのあるモザイク模様がエメラルドの緑色を引き締めています。
小ぶりのイーグルクロー(鷲爪)の頭を峰を立てることで爪を目立たなくし、あたかもエメラルドが耳の上に張り付いているように見えます。
4つのペアーシェイプのダイヤモンドを外側下の角の周りに配すことで耳の輪郭にマッチさせ華やかさを与えています。
AGL(American Gemological Laboratories)のコロンビア産無処理のレポートがついています。
〇ロット番号2346
プラチナ エメラルド ペンダント Etcetera製
エメラルド9.12+8.84カラット
ロマノフ王朝由来のコロンビア産無処理のエメラルドです。
ここでご紹介した4ロットの中で最も好みのエメラルドです。
十分な濃さと彩度の高さにコロンビア産特有のベルベティさも持ち合わせています。
透明度が高いのは言うまでもありません。
来歴の確かさから高値が期待されます。
Etceteraとは、元クリスティーズ香港の査定担当のEdmond Chin氏が2000年に立ち上げたブランドです。
下の写真は、比較のため百円玉と一緒に撮りました。