〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
〇輪郭に拘る
上に2つのペアーシェイプを用意しました。
2つとも幅と長さの比率は1:1.55とほぼ同じです。
どちらも円を書いて、中心から上に向かって直径の1.55倍の位置に点を打ち、そこから円の左右の端に向かった弧を描いた線で結ばれていますが、膨らみ具合がことなります。
左は、僅かにカーブを描いて、右側は大きなカーブで結ばれています。
弧の強弱はありますが、右側のグループに属するものは比較的多く存在します。
裸石で見た場合は、それ程気になりませんが、ジュエリーに仕立てるときは注意が必要です。
ペアーシェイプをプロングセッティング(爪留め)する場合は、小さいものは丸みの両端と先端の尖ったところの3点で、大きめものは更にこのカーブの中心に左右1つずつ合計5つの爪で留めます。
爪は、その部分を強調しますので、肉眼では実際のカーブより大きなカーブに見えます。
実際に上の二つのペアーシェイプのその部分に仮の爪をかけてみましょう。
左側のカーブが小さいものです。
すっきりしたドロップシェイプが保たれています。
右側のカーブの大きいものは、このように見えます。
ペアーでもドロップでもなく、あえて言えばビュレット(弾丸)シェイプでしょうか。
これほどカーブが大きくなければ、3点留めで綺麗に見えるものもあります。
反対にカーブが少なすぎるものを3点留めした場合は、爪の大きさにもよりますが3点が強調されすぎて三角に近く見えることもありますので、爪の大きさとかける位置によってその形がどのように見えるかを考えなければなりません。
私は、3点留めでも5点留めでも対応できるバランスの良いものを買い付けすることを心がけていますが、マーケットには多くありません。
研磨業者は、バランスよりも歩留まりを優先しますので、バランスの良いものに出会うのは非常に稀です。
最後に前回からの説明に使った3つのペアーシェイプを並べた写真をご覧ください。
左は、太めの洋ナシ形、右はカーブが大きい弾丸形、真ん中はバランスの良いドロップ形です。
ほぼ同じサイズですが、輪郭の大切さが実感できると思います。