〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
〇カラーに拘る
カラーをチェックする場合は、このように専用の白い紙に載せて、自然光を再現したデイライトの下でフェイスダウンで行います。
写真は、0.3カラットサイズと小粒なので、1回に10粒程度を並べてチェックします。
手早く肉眼で選別した後にカラーサンプルで確認します。
プロのバイヤーの場合は、そのズレは前後1ランクぐらいです。
クローズアップして見てみましょう。
このロットは、Collection Colorと言われている最も無色のロットです。
カラーの等級で言うとDカラーからH+カラーの範囲になります。
まだ、この写真では違いは分かりませんね。
更に分かり易いように、この中からDカラーとHカラーを抜き出しました。
左の無色で透明度が高いのがDカラーで、右の僅かに黄色味ついているのがHカラーです。
単体で見ても分かりませんが、このように差のあるものを比較すると皆さんでも分かります。
カラーの選別はラウンドでもファンシーシェイプでも同じです。
但しラウンドの場合、この0.3カラットサイズをテーブルを上にした状態(フェイスアップ)では、このDカラーとHカラーの差はプロでも肉眼では殆ど分かりません。
では、ファンシーシェイプではいかがでしょう。
DカラーとHカラーをフェイスアップにしました。
どうでしょう。
皆さんにも分かりますね。
ファンシーシェイプは、ラウンドに比較して輝きが穏やかなので地色が良く分かります。
特にペアーシェイプやマーキスの尖った部分に色が溜まりやすく目立ちます。
そのため私はファンシーシェイプを買うときには、カラーに拘ります。
4回に分けて、特に輪郭について説明しましたが、説明した以外に最も大切なのは、透明度です。
透明度とクラリティが一緒と考えている人も多いと思いますが、クラリティグレードに透明度が考慮されるのは、極端に透明度が低い場合だけです。
Intenally FlawlessにもVVSにも透明度が悪いものがあります。
まずは、透明度を見極めることが大切です。
そのほかにも、クラリティーグレードのキズの優劣やカラーグレードでもブラウン味やグレー味の見極め等、チェックポイントは多岐にわたります。
その多くがグレーディングレポートには記載されていないことです。
それらについては機会を見てご紹介していきます。