〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
アントワープ、イスラエル、ムンバイ、ニューヨークが世界四大ダイヤモンド研磨地と呼ばれてから久しくなります。
その後も人件費の優位から発展を続けたムンバイを別にすると世界のダイヤモンド研磨産業の情勢は大きく変わりました。
ニューヨークは、研磨地と言っても大粒石に特化していたので、金額は別として研磨能力はもともと極僅かでした。
米国と言う圧倒的に大きなマーケットを抱えているので現在でも大粒ダイヤモンドの取引では確固たる地位を保っています。
既に集荷地として認識されていたアントワープは、原石の取引を独占できたこともあり生き残りました。
しかし、数年前よりベルギー政府が脱税を厳格に取り締まる方針を発してから業者の流失が始まり、集荷地としての地位が脅かされています。
テルアビブは、アントワープと同様に人件費の高騰から研磨量が激減し政治的情勢からバイヤーにも敬遠され、一時は危機的状況に追い込まれましたが、現在は原石の管理と研磨済みの集荷地としてアントワープと競っています。
数年前に比べ、イスラエルのダイヤモンド取引所のオフィス価格は倍になっています。
業態転換によって復活したことがオフィス価格に反映された結果ですが、アントワープの業者の一部が避難してきたことも影響しています。
研磨地としては、インドの他に中国、タイを中心としたバーツ経済圏、ロシア等のシェアが大きく、これに南アフリカ、ボツワナ等のアフリカの原石の産地が雇用政策を進めているため、新たに加わりつつあります。