〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
先月の終わりに8月のサイトより原石の値上げをする旨の通達がありました。
サイズ、品質毎に値上がり率が異なります。
これが実際に送られてきた通達の写しです。
Polished Sizesとは、研磨上がり後のサイズと言う意味です。
+1ctは1カラット以上
+20ptsとは1カラット未満0.2カラット以上
Meleeとは、0.2カラット未満1/40カラット(0.025カラット)以上
Starsとは、1/40カラット未満
+VSとはクラリティーがVSクラス以上
SIとはクラリティーがSIクラス
SIクラス未満のI1~I3は、値上げ無しと最後に一文入っています。
大粒になるほど、品質が高くなるほど値上がりが激しくなっているのが見て取れます。
これを見て皆さんは、「また来月から大粒ダイヤが高くなるの?」と考えるのは性急です。
実は、既に値上がりした原石価格で取引がされており、サイトの原石価格に上乗せされています。
その上乗せ率が値上げ率です。
そうです。市場で既に値上がりしている分をDTCは後追いで値上げしているのです。
この上乗せ率をプレミアムと言い、DTC(De Beers)は値上げのことを「プレミアムの吸収」と呼んでいます。
既に原石価格が上がっているのなら、発表しなくても良さそうなものですが、そこには別の意図があります。
発表は、サイトホルダーに向けて行われますが、実際はサイトホルダーが彼らの研磨済みの顧客に対しての値上げをスムーズにする目的の方が重要です。
現在のところ、大粒ダイヤモンドの価格の上昇は一服しています。
高止まりしている状態です。
この値上げの発表が更に強気な相場を醸成するのか、単にプレミアムを吸収するだけなのかは分かりません。