〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨年、お客様より5カラット、ハートシェイプのダイヤモンドをご注文頂きました。
大粒宝石の場合、本当に美しいものは僅かしかなく、出会いが必要です。
今回も満足できるものが見つかったのは今年の7月でした。
ハートシェイプは数あるファンシーシェイプの中で形の良いものが最も少ないので、納得の出来るものに出会うのに時間がかかります。
これが、正面から見たルースの写真です。
縦横の比率が約1対1は、多くの方が好みます。
中には、横広がりの方が良いと言う方もいますが、そのような人にも許容できる範囲です。
縦長のものは、本来ハートシェイプとしては使わずに里芋の葉のような植物を模す時に使います。
左右のカーブは膨らみすぎず、真っ直ぐでもない自然な丸みがポイントです。
上部の切れ込みの度合いが、研磨工にとって最も難関です。
切れ込みが足りないとハートではなく栗の形のような形になり、反対に切れ込みが長いとウサギの耳のようで、どちらも格好が悪くなります。
このハートシェイプは切れ込みの度合いが程よいばかりでなく、ラウンドに近い丸みがあって理想的です。
キュレットの位置もほぼ中心にあり、クラウンとパビリオンのバランスが良いのでファセットが織り成すモザイク模様の濃淡の調和がとれて美しさを発揮しています。透明度も抜群に高く、無色のダイヤモンドを更に際立たせています。
次は、ジュエリーに仕立て上げた姿をご覧頂きます。