〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
私のブログを見ていただいている多くの方が、ドレスデンと言えば、『緑の丸天井』と『ドレスデングリーン』を連想されると思います。
お待たせいたしました。
世界的に有名な緑のダイヤモンドドレスデングリーンは「新しい緑の丸天井」に展示されています。
ガラス越しですが、20センチ程の至近距離で観察できます。
さぞかし人気で人だかりがしているのかと思いきや、常に2~3人のお客さんだけで思う存分に見ることが出来ました。
インドで発見されたとするこの世界で最も大きい天然のグリーンダイヤモンドを、アウグスト3世が手に入れたのは1742年です。
ご存知のようにダイヤモンドにおける緑色の起源は放射線です。
現在市場にあるグリーンダイヤモンドの殆どが人工的に放射線を照射してグリーンにしたものですが、これだけ古く由緒正しいものは鑑別の必要もなく、紛れも無い天然のグリーンダイヤモンドです。
実際の色は、この写真のようにかなり青味の強い緑色です。
もともと緑を青と呼ぶ習慣の日本にありましたら「青のダイヤモンド」と呼ばれていたかもしれません。
41カラットの卵型のブリリアンカットのドレスデングリーンの大きさは、ちょうど男性の指の第1関節ぐらいでしょうか。
迫力のあるサイズです。
透明度は高く姿形も良いダイヤモンドですが、彩度はそれ程高くないので色の好みは分かれます。
個人的には、スミソニアン博物館でホープダイヤモンドを見たときの落胆から比べると、十分に美しいと思います。
ドレスデングリーンを手に入れるためにアウグスト3世が支払ったのは、400,000ターレル銀貨と言われています。
因みに隣接する聖母教会(下の写真)を建てるのにかかった費用は288,000ターレル銀貨なので、世界で最も高価なダイヤモンドといわれる由縁が理解できます。
現実味は少ないのですが、もし現在オークションにかかったら幾らの値がつくか想像するのも楽しいものです。