〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
オートクチュール(カスタムメイド)のダイヤモンドのスタッドピアスとペンダントです。
ペンダントが1.5カラットサイズ、ピアスが1カラットサイズと言う贅沢なジュエリーです。
もちろんジェムクオリティーです。
注文主に合わせて作りますので、既製のジュエリーとは一線を画します。
どちらも、「肌の上にダイヤモンドだけが留まってるような」と言う構想でつくりました。
余分なものはそぎ落としています。
正に「マキシマムジェム、ミニマムメタル」です。
ピアスは、お客様の耳の形とその耳がどの方向を向いているか、更に耳に開けた穴の位置も見てベゼルの形状を調整します。
ご注文いただいたお客様の耳は、頭に沿って綺麗に寝ている欧米人が憧れるタイプです。
このような耳の方には、出来るだけダイヤモンドが真っ直ぐ前に向くようにベゼル(石座)を内側に向くように作ります。
また、少し上を向かせることで自重で下を向く分も調整します。
結果、このように4本の爪の長さが異なるものが出来上がります。
左右で違う向きになるので、アッパーベゼル(石座)とローワーベゼル(耳なじみ)の間に小さな丸い目印をつけて左右が分かるようにしました。
目印がついている方が内側(顔側)です。
ぐるぐると回らないようにする為にポスト(針)は上部につけます。
名前の通りスタッド(鋲)のように見せるためには全体の高さを抑えなくてはなりません。
ギリギリまでダイヤモンドを低く留めるために、ダイヤモンドの先端(キュレット)が地金に当たらないように耳に当たる部分(ローワーベゼル)の真ん中を丸く抜きました。
ベゼル(石座)は安定するように絞込みを抑えています。
爪もごく小さくまとめて上品に仕上げています。
○ダイヤモンド ペンダント
このようなペンダントを作るときにチェーンを本体に直接つけるか、本体に通して動くようするか悩みます。
本体に通すと、ペンダント本体は真下に安定しやすくなる反面、気がつくとチェーンの金具が前に回ってきてペンダント本体にくっついている状態になることが良く見られます。
本体に直接つけた場合は、時間がたつと鎖骨の上のほうに本体が回ってしまいます。
どちらも一長一短があり、正解はありません。
今回は、本体が比較的大きいので、自重で下に留まりやすいこととお客様の好みを勘案して直接つける方法を選びました。
ひっくり返らないようにベゼル(石座)の絞込みを抑えています。
チェーンは、耐久性を確保しながら、本体を引き立たせる細いケーブルチェーン(小豆)を採用しています。
お客様の体に合わせて、本体が最適な位置に収まるようにチェーンの長さを決めました。
調節環(写真右側の小さい輪)をつけ、地肌にもニットの上からでもバランスよくつけられるようにしました。
金具(写真左側の金具)も持ちやすく、引輪に通りやすいように少し大きめなペアーシェイプ形に作りました。
特性のプレートにはSUWA Pt950の刻印がされています。
自分の体にフィットするオートクチュールならではのジュエリーです。